国内タイヤ4社の第1四半期は大幅増益に 需要回復で3社が通期上方修正

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カテゴリー: ニュース

 国内4社の第1四半期(1~3月)業績が出揃い、全社が増収増益を達成した。前年同時期には新型コロナウイルスの影響が広がっていたが、そこから1年が経過して需要は大きく改善しつつあるようだ。下期にかけて天然ゴム価格や原油の上昇など原材料高が懸念されるが、北米や中国でのタイヤ販売が当初の想定より好調に推移しており、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は通期の業績予想を上方修正した。

ブリヂストン トラック・バス用の回復目立つ

1~3月期業績と通期予想
1~3月期業績と通期予想(写真等の無断複製・転載を禁じます)

 ブリヂストンの第1四半期決算(国際会計基準)はグローバルのタイヤ需要が回復する中、トラック・バス用タイヤを中心に販売を伸ばした。グローバル販売本数は、乗用車・ライトトラック用タイヤが前年比7%増、また18インチ以上の大口径タイヤは17%のプラスとなった。トラック・バス用は全体で12%増加した。特に欧米の市販用は2019年を大きく上回る水準となっている。

 年間でもグローバルのタイヤ需要は堅調な増加を見込み、消費財、生産財ともに2019年に近いレベルまで回復を想定している。業績見通しは前回予想を据え置いた。

住友ゴム 通期売上収益は過去最高見込む

 住友ゴム工業の第1四半期決算(国際会計基準)は、タイヤ事業の売上収益が10%増の1803億円と、2019年(1817億円)並に回復し、事業利益は約5.5倍の131億円となった。

 国内の新車用タイヤは自動車生産が減少した影響で、販売本数が3%のマイナスとなったものの、国内外の市販用タイヤ、海外の新車用の売上収益はともに前年を上回った。特に海外市場では北米や中国で市況が回復し、販売本数も高い伸びを示した。

 通期の業績予想は売上収益、各利益ともに上方修正した。売上収益は過去最高を記録した2018年(8942億円)を上回る9100億円を見込み、原材料価格がマイナスに働くものの事業利益も40億円上振れする。同社では「タイヤ事業で北米など市況の回復の早い地域があるため」と説明している。

 グローバルでのタイヤ販売本数は前年比13%増と、当初見込みより2ポイント増えそうだ。

横浜ゴム 中国市場が大きく伸長

 横浜ゴムの第1四半期決算(国際会計基準)は売上収益と各利益が過去最高となった。タイヤ事業の売上収益は16.0%増の1014億円。新車用は国内と北米が半導体不足の影響などで前年を下回ったものの、中国の需要回復がプラスに働いた。市販用は国内のほか、中国やアジア、欧州で増加した。

 海外のタイヤ販売本数は、2019年の同時期と比較しても中国で新車用、市販用ともに4割増加。北米も17%増、欧州は13%増と、コロナ以前を上回った。タイヤ事業の事業利益は93億円に黒字転換(前年同期は5億円の赤字)した。

 中国市場の需要増などを受けて通期の売上収益、純利益は上方修正した。ただ、事業利益は原材料費や物流費の増加を考慮し据え置いた。

TOYO TIREの純利益は過去最高に

 TOYO TIREの第1四半期は純利益が四半期として過去最高を記録した。タイヤ販売本数は北米(25%増)や国内(8%増)で市販用が好調に推移。同事業の売上高は7.5%増の777億4100万円だった。コロナの影響が続く欧州やアジアでは一部苦戦したものの、特にSUV用タイヤやオールシーズンタイヤなど高付加価値商品が伸びたことで、営業利益は78.3%増の131億9100万円、営業利益率は17%に達した。

 通期の業績予想は為替が円安に推移したため為替差益を計上し、経常利益と純利益を上方修正した。原材料価格の高騰やコロナ影響が不透明なことから売上高、営業利益は据え置いた。


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