日本ミシュランタイヤと群馬県内の製造業を中心とする企業グループは6月25日に前橋市内で会見を開き、日本貿易振興機構(ジェトロ)、群馬県などと連携して一般社団法人「群馬積層造形プラットフォーム」を設立すると発表した。仏ミシュランが太田市に構えている研究開発拠点の3D金属プリンターを外部に活用してもらい、県内からイノベーション創出につなげる。
積層造形は、立体物の断面データをもとに、樹脂や粉体などの薄い層を積み重ねて3次元の造形物を製作する技術。3Dプリンティングとも呼ばれ、複雑な形状が自由に成形できるため、自動車や航空産業、医療分野などで活用されている。
群馬県は自動車関連をはじめ製造業が盛んだが、CASEなど今後の環境変化への対応が求められていた。こうした中で、「高付加価値産業へ転換するためには3D金属プリンターなど最新技術が鍵となるが、設備が高額という課題があった」(ジェトロ)という。一方、ミシュランは3Dプリンティングをタイヤの金型製造に使用し、10年以上の実績と知見を有しており、その活用範囲の拡大を模索していた。
会見で日本ミシュランタイヤの須藤元社長は、「今回の積層造形技術を軸とした産官学連携は、業界の境界を越えて社会に貢献するという我々の明確な意思表示となる。群馬県、そして日本の産業発展に寄与していく」と述べた。
「群馬積層造形プラットフォーム」は当初、地元企業7社と日本ミシュランタイヤでスタートするが、今後は群馬県にとどまらず全国から会員を募る。また、デジタルものづくりに精通した高度人材の育成にも積極的に取り組む予定。様々な教育プログラムを用意して、ミシュランや群馬大学も支援を行う。
須藤社長は「地元企業や自治体、大学などと協業して、群馬から未来の創造を実現したい」と意欲を示した。