横浜ゴムは7月29日、トラック・バス用スタッドレスタイヤ「904W」を9月から全国のヨコハマタイヤ販売会社を通じて販売すると発表した。発売サイズは17.5~22.5インチの14サイズで、価格はオープン。
「904W」は、従来品(SY397)に比べて氷上制動性能を4%、雪上制動性能を2%高めながら、耐摩耗性能が10%以上向上した。同社では、「総合性能重視型のスタッドレスタイヤに相応しい優れた安全性と経済性をバランスよく両立させた」としている。
新商品では年間を通じた使用を考慮し、従来品で好評だった摩耗率によりトレッドパターンが変化する特徴を継承した。これにより、新品時の冬はスタッドレスタイヤとして氷雪上性能を発揮し、春から夏前の50%摩耗時にはオールシーズンパターンに変わり梅雨のウェット路面に対応。さらに、夏から秋の90%摩耗時にはリブパターンとなり優れた静粛性を実現するという。同社の担当者は「主に東北、北陸、山陰地方といった積雪地域において“履きつぶし”で使用するユーザーを満足させる商品だ」と自信を示した。
技術面では、トレッドパターンにおいて溝容積を確保しつつ接地面積がアップした「ワイドトレッドデザイン」を採用し、氷雪上性能と耐摩耗性能を両立。センターのブロックではエッジ成分の配置を最適化し、氷雪上路面とウェット路面でのトラクション性能を高めた。
さらに、吸水性の向上とエッジ効果の増加のため、「高密度サイプレイアウト」を取り入れた。「通常、高密度でサイプを配置すると、ブロック剛性が落ちて接地面積を確保できず、グリップの低下や偏摩耗が発生するリスクがある」(担当者)が、今回は同社のトラック・バス用で初めて「5段ピラミッドサイプ」を採用してブロックの倒れ込みを抑制し、接地面積を確保。これらにより氷雪上性能が向上し、ヒール・アンド・トゥ摩耗を抑制した。
その他、「新ストーンイジェクトグルーブ」によって石噛みによる損傷を抑制し、リトレッド用台タイヤとしてのリサイクル率向上を図った。また、ショルダー部分は互い違いのブロック配置とし、偏摩耗を抑えた。
横浜ゴムが昨年、タイヤテストコース「北海道タイヤテストセンター」で開催した試乗会では「ボルボ・FH」に「904W」を装着。同社のドライバーは「雪上でもググッと止まる」と、その安全性を強調していた。
横浜ゴムは、今年からスタートした3カ年の中期経営計画の中でトラック・バス用タイヤ事業における事業基盤の整備、増産投資に加え、商品ラインアップの拡充を進めている。