国内タイヤメーカー4社 通期業績予想を上方修正

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カテゴリー: ニュース

 国内タイヤメーカー4社の上期業績と2021年の通期業績予想が出そろった。昨年は4~6月期に新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が急減していたが、今期は北米市場や高付加価値タイヤを中心に販売が回復。コロナ以前の水準を上回り、過去最高の収益を達成する勢いも見られており、全社が通期予想を上方修正した。下期にかけて、高騰が続く原材料価格への対応、コンテナ不足に対する供給体制の改善を進めつつ、需要を確実に取り込む戦略が求められている。

上期業績および通期予想
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 ブリヂストンはタイヤ需要の回復や収益性向上などを受けて通期業績を上方修正した。当期利益は過去最高益を見込む。

 乗用車・ライトトラック用およびトラック用タイヤは、グローバルでの回復基調が継続し需要が増加すると予想。また、半導体不足の影響も下期から解消に向かい、新車用タイヤの需要が回復する見通し。石橋秀一CEOは「原材料価格が全体的に上がっているが、昨年からグローバルで調達チームを立ち上げて対応している」と説明した。

 住友ゴム工業のタイヤ事業は通期の売上収益が前年比17%増の7940億円、事業利益が14%増の465億円の見通し。原材料価格の高騰がマイナス要因となるが、販売数量の増加やミックス改善がプラスに寄与すると予測している。また、価格の改定や直接原価も増益に寄与する見込み。

 横浜ゴムは通期予想を上方修正した。日本、北米での市販用タイヤの販売、ATG事業のオフハイウェイタイヤの好調を背景に四半期利益が前回予想を上回ったため。

 タイヤ事業の売上収益は16.5%増の4650億円、事業利益は35.4%増の325億円を見込む。原材料高騰や物流費などの変動費が減益要因となるが、販売量の増加や価格ミックスの改善などで増益となる見通し。タイヤ販売本数は13%増で、国内外ともに前年よりプラスになる。特に、欧米やアジアでは2割以上増加する見込み。ATG事業も好調を維持するもようだ。

 山石昌孝社長は「コンテナ不足で港在庫が少し膨らんできているが、8~9月には解消する見込み」と展望を示した。

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は下期も引き続き大口径SUV用タイヤなど強みがあるカテゴリーで拡販に取り組む。タイヤ事業の売上高は14.2%増の3500億円、営業利益は30.4%増の500億円と、ともに従来予想から引き上げた。

 グローバルでのタイヤ生産量は前年比2割、販売数量は1割の増加を見込む。好調が続く米国市場ではバックオーダーを抱えていたが、生産増強が9月に完了し、供給体制は改善する見通しだ。

 清水隆史社長は「北米を中心に需要を着実に取り込み、収益確保を進める」と意欲を示した。

上期は堅調な回復示す

 新型コロナウイルスの影響を大きく受けた昨年上期から一転、2021年の上期は力強い回復を示し、コロナ以前を超える水準まで需要が回復した。特に好調だったのは北米市場で、各社の収益を牽引した。

 ブリヂストンは、グローバルで乗用車・ライトトラック用事業の売上収益が前年同期比25%増の7894億円となり、販売本数は24%増加した。このうち乗用車用の18インチ以上の大口径タイヤは43%増で、2019年比でも8%増となった。

 トラック・バス用事業の売上収益は24%増の3700億円。販売本数は24%増だった。補修用タイヤは建設や運送の需要が堅調で、上期累計ではほぼ19年と同レベルまで販売が回復した。建設・鉱山用などを含む特殊タイヤ事業の売上収益は20%増の1912億円。

 住友ゴムのタイヤ事業の売上収益は27.0%増の3692億8900万円、事業利益は前年同期の8億9500万円の赤字から234億7700万円へ黒字転換した。上半期のタイヤ販売本数は2割増の5692万本だった。

 山本悟社長は「市販用タイヤは北米で好調だったほか、欧州も前年を上回った」としたほか、「中国は新型コロナウイルスの影響からいち早く回復し、特にネットビジネスなどの伸びが顕著だった」とコメントした。

 横浜ゴムの上期は売上収益と各利益がいずれも過去最高を達成。タイヤ事業の売上高は26.7%増の2110億1500万円だった。事業利益は前年同期の20億1900万円の赤字から162億7400万円の黒字に転換している。タイヤ販売本数は27%増となった。

 ATG事業は農機用や産業車両用の需要が旺盛だった。売上収益は60.5%増の482億3300万円、事業利益は71億2000万円で、過去最高益だった。

 トーヨータイヤのタイヤ事業は売上高が23.8%増の1664億8800万円、営業利益は23.3%増の198億8400万円と過去最高を達成。営業利益率は16.8%と高水準を記録した。

 グローバルでのタイヤ生産量は32%増加。タイヤ販売本数は全体で16%増となり、特に北米の市販用が29%増と伸びた。


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