将来の成長へ向けて布石 国内4社のトップが方針示す

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カテゴリー: ニュース

 8月11日までに行われた国内4社の決算説明会で、各社のトップが今後の施策や上期の取り組みを語った。

ブリヂストンの石橋CEO
ブリヂストンの石橋CEO

 ブリヂストンは2023年までの中期事業計画の進捗を発表した。会見では、経費・コスト構造改革やプレミアムビジネスの強化といった「稼ぐ力の再構築」などにより、2021年通期の売上収益や調整後営業利益、当期利益が2022年計画水準に達する見込みだと明らかにした。

 タイヤ事業に関して石橋秀一グローバルCEOは、「回復基調をいかに捉え、攻めの姿勢で結果へ繋げることが重要なポイントだ」とコメント。上期は、欧米の需要回復に対し、現地生産能力を最大化するとともに日本・アジア圏からの供給サポートを図るなど、環境変化に対応できる体制の構築を進めた。

 高インチタイヤの拡販にも取り組み、欧米では2021年の計画を上回る販売比率の伸長を見込む。さらに、EV(電気自動車)化を受け、グローバルで前倒ししてプレミアム商品の生産強化を検討していると報告した。

 国内では、9月に発売するスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」で、ケースとベルトの組み合わせを商品間で共有するコモナリティ・モジュラリティを日本初採用した。同技術では生産、物流などバリューチェーン全体の効率化やコスト削減が期待できるという。

住友ゴムの山本社長
住友ゴムの山本社長

 また冬期には、他業界と共同で開発するデジタル技術を活用した需要予測システムを投入する計画だ。石橋CEOは「お客様が必要な時に必要なタイヤを素早く届けられる体制を整える。タイヤ配送の効率化などでサステナビリティへも貢献できる」と展望を示した。

 住友ゴム工業の山本悟社長は中期経営計画の軸となる高機能商品の増販についてグローバルでの取り組みを説明した。

 上期のタイヤ販売本数は新型コロナの影響を受けた昨年からの回復基調が続き、欧米を中心に順調に推移。山本社長は「SUV用タイヤの需要が堅調な米国市場では『ワイルドピーク』シリーズの販売が好調に推移した」と話した。一方、「コンテナ不足により、旺盛な需要に供給が追い付いていない状況が続いている」と課題を挙げ、「米国工場の増産体制が整う来年以降、更なる拡販を図る」と述べた。また、北米ではコロナ禍でソーシャルディスタンスを確保できる移動手段として二輪車の需要が拡大していることを受け、二輪車用タイヤの増販にも取り組む考えだ。

 中国市場では昨年から運用を始めた販売店向けオンライン受注システムを活用。販売量を伸ばすとともに、高インチタイヤの構成比も高めていく方針を示した。現地向けにSUV用タイヤの新商品も投入し、市販用タイヤの販売量は2019年比で増加を見込む。

横浜ゴムの山石社長
横浜ゴムの山石社長

 横浜ゴムの山石昌孝社長は2021年から3カ年の中期事業計画の進捗状況を説明した。

 中計のタイヤ消費財戦略では「アドバン」「ジオランダー」など、「高付加価値品比率の最大化」を掲げており、プレミアムカーへの新車装着拡大や市販市場でのリターン獲得、各市場に合ったサイズラインアップ拡充を積極化している。上期の販売実績は「アドバン」が2019年比17%増、「ジオランダー」は6%増を達成。生産体制強化に取り組んでいる18インチ以上の大口径タイヤは33%のプラスとなり、生産能力に占める構成比も目標の4割に向けて着実に高まってきているという。

 また、環境対応への取り組みではカーボンニュートラルに関して、2030年に向けた行程表を年内に策定する予定。山石社長は「ますます厳しくなる各国政府やカーメーカーからの要求に応える」と述べた。

トーヨータイヤの清水社長
トーヨータイヤの清水社長

 トーヨータイヤの清水隆史社長は今年からスタートした中期事業計画に触れ、「各市場ごとの重点商品の比率はおおむね順調に上がり、営業利益率も高まってきている」と手応えを示した。

 新中計では日米欧のR&Dを連携させることをテーマの一つに掲げている。こうした中、欧州では試験装置を導入し、新素材を採用したタイヤの試作が始まっていることを明らかにした。

 また、経営基盤の強化につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)では、4月に統括部門を立ち上げたほか、ERP(統合基幹業務システム)も含めて統一したプラットフォームの構築に向けた取り組みを強化していく考えを示した。


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