強いブリヂストンへ改革 石橋CEO「攻めと挑戦、実行と結果にこだわる」

シェア:
カテゴリー: ニュース

 ブリヂストンは11月11日に開いた会見で2021年から2023年の中期事業計画について進捗を報告した。石橋秀一グローバルCEOは「事業環境が依然として不安定な中、危機管理を継続しながら“稼ぐ力”の再構築や戦略的な成長投資を実行した」と述べ、変革を推し進める考えを強調した。

 石橋CEOは今期の取り組みについて、タイヤ事業では、販売ミックスの改善や価格マネジメントの強化を継続したことを説明。また、原材料や海上運賃の高騰を受け、原材料の第2銘柄の選定や品質を担保した汎用品への切り替え、物流ルートの最適化などを行いリスクへの対応を図ってきた。販売面では、新車の減産に対応し、タイヤの供給・販売を市販用に切り替えて影響を最小化した。特に新車用比率の高かった乗用車用高インチタイヤは、市販用の割合を1~3月期の4割から7~9月期に5割まで高めた。一方、生産面では乗用車用の低インチタイヤの生産設備を高インチ用に置換することなどを従来の計画より前倒しで検討する。

石橋CEO
石橋CEO

 商品技術に関しては、軽量化や転がり抵抗の低減、運動性能を両立し、EV(電気自動車)の航続距離延長に寄与する「ENLITEN」(エンライトン)の拡大に注力する。同技術は現在、欧州を中心に新車用に搭載されており、2024年には日本でも市販の乗用車用タイヤの約1割に搭載する。2030年にはグローバルで市販用の乗用車用の9割以上、トラック・バス用でも7割に同技術を活用する考えだ。

 ソリューション事業では、小売網を基盤としたサービスの拡充に取り組む。メンテナンスなどのタイヤを使う段階における価値提供の強化や、欧州小売網で計画するEV充電スタンドの新設といったカーボンニュートラル社会の実現への貢献を、それぞれグローバルで推し進める。

 さらに欧州では、同社が持つ車両のデジタルデータを、プライバシーを担保して顧客に提供するサービスを開始した。スマートシティの構築や効率的な運送によるCO2削減へ寄与していく考えだ。

 探索事業では、タイヤをオイルや化学品に戻すリサイクル事業と、ロボットアームなどを開発するソフトロボティクス事業に加え、グアユール事業を新設した。これはゴムの成分を含む植物、グアユールの栽培を通じて天然ゴム供給源の多様化に取り組むもの。同社では2012年からグアユールの研究を本格的に始めており、今後も外部パートナーとの共創も行いながら実用化を図る。

 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも注力する。東北大学とのプロジェクトで2024年までに延べ40名程度の高度デジタル人財を育成するほか、企業買収によるシナジーでDXを加速させる。

 今年、同社はグローバルで多角化事業や内製事業の再編を実行しており、全事業を対象とした再編の件数は年末までにさらに増える見通し。石橋CEOは「本年は攻めと挑戦、実行と結果にこだわる年だ」と強調した。


[PR]

[PR]

【関連記事】