住友ゴム工業は普及が進む電気自動車(EV)への対応を本格化するとともに、CASE時代に対応したソリューションビジネスのグローバル展開を積極的に推進する方針を打ち出した。これまで取り組んできた主要市場での高機能タイヤの拡販に加え、急速なEVシフトが進む中国や欧州で初のEV専用タイヤを投入する。さらに、同社が強みを持つソフトウェアやセンシング技術などと融合させた独自の循環型タイヤビジネスの構築を目指していく。
住友ゴム工業は2月9日に決算説明会を開き、山本悟社長が今後の取り組み方針を示した。
同社は事業戦略の一つに高機能タイヤの拡販を掲げており、これまで日本やアジア市場などで生産、販売の基盤を構築してそれをグローバル展開することで事業を拡大させてきた。その結果、2021年はSUV用タイヤおよび18インチ以上の大口径タイヤのグローバル販売本数が前年比12%増え、販売構成比は34%と、2020年より2ポイント拡大した。
特に北米ではSUV用タイヤ「ワイルドピーク」シリーズの販売好調を受けて、昨年の市販用タイヤの販売本数は初めて1000万本を突破。また、需要が拡大している中南米地域では、増産投資を行っているブラジル工場の供給能力を活用し、確実なシェアアップを達成したという。
一方、中国や欧州では急速に進むEVシフトへ対応するべく、市販用のEV向けタイヤを同社として初めて開発して次の成長へとつなげる。中国で今年4月に同社史上最高レベルの低転がり性能を達成した「イースポーツマックス」を発売し、欧州では来年に「イージークス」を投入する。
EV用タイヤに加えて、CASEに対応したソリューションビジネスも進化させる。今年から空気圧と温度管理に加えて荷重や路面状態をセンシングする技術の実証実験をスタートする。山本社長は「2025年以降はデータ解析などと組み合わせてユーザーの課題にパッケージとして提案する独自の循環型タイヤビジネスに発展させる」と述べ、「日本で開発したソリューションビジネスを中国とASEAN、続けて欧米や中東へ展開していく」と展望を示した。