ブリヂストンは2023年までの中期事業計画で、「変化に対応できる強いブリヂストンへの変革」を目指し、「稼ぐ力の再構築」を進めてきた。
昨年はグループ全体で50拠点の再編を発表。このうち46拠点は、近年収益力が低下していた車両用部品などを含む化工品・多角化事業に属していた。同事業は生産拠点および事業再編に加え、プレミアム商品の販売強化やコスト削減を実施し、昨年に継続事業ベースで黒字化を達成。東正浩グローバルCOOは「事業拠点再編は本年半ばに完了予定だ。今後はコアコンピタンスが活きる事業に注力し、成長フェーズに入る」と強調した。
タイヤ事業では乗用車用高インチタイヤの拡販に注力する。高インチ化は新車用が先行しており、その交換需要を市販用で取り込む方針だ。
さらに、同社が「電気自動車への装着に適したタイヤ基盤技術」とする「エンライトン」の活用も進める。欧州を起点に乗用車用の新車向けから搭載が拡大しており、今年は国内でトラック・バス用にも投入。今後はエンライトンの商品数拡大を図りつつ、ビジネス成長とサステナビリティといった二律背反の価値を同時に創出する。
探索事業は、グアユール事業とリサイクル事業を「サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組み」と位置付ける。特にリサイクルはグローバルで共創を進め、日本では2030年までに大規模実証実験を行う。
タイヤ生産拠点に対しては、中長期的な視点で増強投資やグローバル供給源となる日本・アジアの生産拡大などを検討する。今後の成長エンジンとするソリューション事業の拡充に向けた投資もあわせ、2022年の投資経費は昨年の1.5倍となる約1500億円を計画する。
さらに、M&Aや戦略的出資の費用も約1500億円を見込む。重点投資分野には、モビリティソリューションや小売・サービスの拡充、タイヤ生産技術、モビリティ業界の新興プレイヤー、サステナビリティの5つを設定した。吉松加雄グローバルCFOは「成長へ向けた変革を加速する」と意気込みを示した。