国内市場でSUVの存在感が一層高まる中、タイヤへのニーズが大口径モデルへシフトしている。SUVは2017年に45万台だった販売台数が2021年に65万台を突破し、登録車販売に占める割合は17年の13%から23%へと急拡大した。人気モデルでは標準のタイヤサイズが17、18インチクラスが中心となっており、市販用タイヤでも高インチゾーンをターゲットとした商品が相次いで発表されている。
昨年はブリヂストンや横浜ゴム、TOYO TIREがSUV向けの新モデルを市場投入したのに続き、今シーズンは住友ゴム工業、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤーなども高性能タイヤを数多く発表。サイズ展開では18インチ以上を豊富に揃えた。
日本自動車タイヤ協会が発表した2021年の市販向け乗用車用タイヤのメーカー出荷本数は、前年比8%増となったものの、新型コロナ前の2019年と比べると5%減と完全には回復していない。一方、18インチ以上に限ると19年と比べても2ケタの成長があったと推定されており、日本ミシュランタイヤなど早い段階からこのカテゴリーに注力してきたメーカーは、市場の伸びを上回る成長率を達成しているもようだ。
さらに、「近年、事前にしっかりと中身を調査してから購入するユーザーが増えている」(住友ゴム)という傾向も表れており、その背景には大口径化やプレミアム化に伴う単価上昇もありそうだ。
今後も成長が期待されるカテゴリーとして商品ラインアップが揃った今、各社は需要の取り込みへ勢いを増していく。