国内タイヤ4社の1~3月期業績 値上げ浸透で2ケタ増収達成

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カテゴリー: ニュース

 国内タイヤメーカーの決算が出揃った。売上高は値上げ効果やミックス改善などが寄与し、全社とも2ケタの増収を記録した。その一方で、原材料価格や物流費の高騰が大きな重しになり、2社は営業減益となった。通期でも原材料価格や海上運賃などのインフレは続く見通しだが、住友ゴム工業とTOYO TIRE(トーヨータイヤ)は円安の進行などを受け、業績予想を上方修正した。

1~3月期業績および通期予想
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 ブリヂストンの第1四半期決算(国際会計基準)は値上げや数量増加、為替の影響、ミックスの改善などが利益を押し上げた。ロシアのタイヤ事業の減損損失を計上したが、継続事業の純利益は3%のプラスとなった。

 グローバルのタイヤ販売本数は、乗用車・ライトトラック用が前年同期比7%増となり、18インチ以上の大径タイヤは市販用が25%増加した。トラック・バス用は全体で7%増、2019年比でも5%のプラスとなった。鉱山・建設用は堅調に推移し、特に超大型は鉱物価格の上昇に伴い21%増と伸長した。

 11日に開いた会見で吉松加雄グローバルCFOは、「通期では為替の影響に関わらず生産性向上や価格マネジメント、ミックスでインフレを跳ね返す」と意欲を示した。

 住友ゴムの決算(国際会計基準)は過去最高の売上収益だったものの、事業利益は原材料価格や海上運賃の高騰などが響きマイナスとなった。タイヤ事業の売上収益は16.9%増の2108億6600万円、事業利益は20.5%減の104億5400万円だった。

 タイヤ販売本数は合計で1%減の2818万本。国内では、市販用は夏タイヤのプレミアム商品が好調だったほか、オールシーズンタイヤや冬タイヤの販売も寄与し16%増加した。新車用は自動車生産台数の減少などが影響して19%減少した。海外は新車用が6%増、市販用は3%減少した。

 通期の連結業績予想は、為替影響や販売価格の見直しなどにより売上収益を前回発表(1兆500億円)から上方修正した。事業利益は原材料価格や海上輸送費の負担増のため据え置き、当期利益は前回予想(245億円)を上回る見通し。

 横浜ゴムの業績(国際会計基準)は、タイヤ事業における値上げの浸透や為替円安が寄与し、売上収益は過去最高を記録した。事業利益は原材料価格や物流費の高騰、物流網の混乱、新型コロナの影響で減益となった。

 タイヤ事業の売上収益は31.4%増の1628億8600万円、事業利益は10.2%増の140億3100万円。このうち、農業機械用や産業車両用などオフハイウェイタイヤを展開するYOHT事業は、売上収益が61.3%増の363億6900万円、事業利益は54.1%増の53億8500万円だった。

 タイヤ販売本数は全体で7%増加した。国内では新車用が12%減少したものの、市販用は新商品の発売や冬タイヤの好調、値上げ前需要の取り込みにより24%増加した。海外向けは新車用が11%増、市販用は北米やインドなどアジア地域がけん引し2%増となった。オフハイウェイタイヤの販売も好調だった。

 TOYO TIREの決算は、営業利益が四半期として過去最高を記録した。タイヤ販売本数は北米や国内で市販用が好調に推移。タイヤ事業の売上高は17.8%増の916億円、営業利益は26.4%増の166億7100万円で、営業利益率は18.2%と高水準を達成した。海上運賃や原材料価格高騰の影響があったが、特に北米で高付加価値タイヤが好調だったほか、急速な円安による為替差益でカバーした。

 通期の業績予想は売上高、各種利益を上方修正した。純利益は2月に公表していた前年比28.4%減の296億円から6.9%減の385億円に修正し、マイナス幅が大幅に縮小する見通し。


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