タイヤ管理の効率化へ 日本ミシュランタイヤ「DX化」加速

 日本ミシュランタイヤはトラック・バス用タイヤを中心に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。横浜市で開催された「ジャパントラックショー2022」で報道向けの説明会を開催し、人手不足や高齢化が課題となっている物流業界へデジタル技術で貢献していく方針を打ち出した。既に国内で展開を始めた「ミシュランタイヤケア」やRFIDを活用したサービスにより、タイヤメンテナンスの大幅な省力化を図り、ソリューションビジネスを強化する。今後RFIDを消費財を含め全てのタイヤに採用して個体管理することで、新たなサービスを創出するなど、ビジネスの可能性を広げていく。

タイヤ点検の時間を98%削減も

「ミシュランクイックスキャン」
「ミシュランクイックスキャン」

 日本ミシュランタイヤは「ジャパントラックショー」開催初日の5月12日に説明会を開き、須藤元社長、B2B事業部の田中禎浩常務らが登壇した。須藤社長は「現在ミシュラングループとして、『タイヤとともに』『タイヤ関連で』『タイヤを超越して』という3つの事業形態を推進している」と話した。その上で「フリート向けソリューションは『タイヤ関連で』にあたる。今後の展開を加速させる」と意欲を示した。

 物流業界では、ドライバーに残業規制が適用される「2024年問題」が大きな問題になっている。2024年4月以降、運転業務の年間時間外労働が上限960時間に制限されることに伴い、物流を停滞させないための対策が急務となっている。ただ、今後も輸送需要の増加が見込まれるため、2030年頃には国内物流が危機的な状況に陥る可能性がある。

 こうした中で、課題解決の一つとして日本ミシュランタイヤが推し進めるのはデジタル技術の活用だ。これまでもリトレッドタイヤのケーシング管理、IoTによるクラウドサービスなどを展開してきた同社だが、今後は勢いを増して「タイヤのDX化」に取り組む。

須藤社長(左)と田中常務
須藤社長(左)と田中常務

 その一例が昨年12月に提供を始めたタイヤ点検の省力化を図るデジタルソリューション「ミシュランタイヤケア」だ。これは測定機器とスマートフォンのアプリケーションを使用して点検を行い、自動で作成されるレポートからタイヤマネジメントを可視化するもの。従来の人間の手による点検やデータ入力、レポート作成に比べ、時間は半減できるという。また、販売店やユーザーは最適なタイミングでタイヤ交換などが行えるようになり、コスト管理にも活用できる。

 さらに、タイヤの摩耗状態を自動で判別するシステム「ミシュランクイックスキャン」と組み合わせることで、要する時間は98%もの削減が可能になる見込みだ。

 「クイックスキャン」は地面に設置した磁気スキャナー内蔵パネルを通過した車両の装着タイヤの残溝を、ミリ単位で計測できるシステム。駐車場やSSなどへ容易に設置でき、既に欧州で実績を積み上げている。

 田中常務は「タイヤ点検は完全に自動化され、高い頻度で点検が可能になることから安全性が向上し、メンテナンス作業は飛躍的に進化する」と述べ、今後数年以内に国内市場にも導入する考えを示した。


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