日本自動車タイヤ協会(JATMA)は5月24日、業界自主基準の「低車外音タイヤに関する試験方法及び表示方法に関する運用基準」を制定し、これに基づく表示制度の運用を2023年1月から開始すると発表した。この制度は、低車外音タイヤの普及推進に向けた自主的な取り組みとして運用するもの。
「低車外音タイヤ」は、走行中の車のタイヤが車外に発する騒音が一定基準以下のタイヤとして定義する。同協会では「表示基準を定めることにより『低車外音タイヤ』の普及促進を図り、自動車交通騒音の低減に貢献していく」としている。
なお、この制度はJATMA会員会社のほか、日本国内でタイヤ事業に関わる全ての事業者が参加可能な制度とするため、透明性と公平性を確保する観点からタイヤ公正取引協議会(タイヤ公取協)の協力のもと、同協議会が定める公正競争規約として運用する。
タイヤ公取協は同日、「低車外音タイヤに関する試験方法及び表示方法に関する運用基準(案)」を公表した。
この文書は、「試験方法の基準」や「適正な表示方法」「試験結果の届け出及び試験の立会い」について記載するもの。
制度の対象となるタイヤは、一般消費者向けの市販用タイヤで、乗用車用や小型商用車用、中・大型商用車の夏冬用が該当する。ただ、国際連合欧州経済委員会(UNECE)の「タイヤの車外騒音・ウェット路面上の摩擦力・転がり抵抗に係る協定規則(第117号)」(UN R117)で規制の対象外となる応急用スペアタイヤやプロフェッショナルオフロードタイヤなどは除く。
タイヤの試験は国際標準化機構(ISO)が該当する国際規格(ISO13325)で定めた試験方法で実施し、試験タイヤを試験車両に装着できない場合など同試験法で試験ができない場合は「UN R117」で定めた試験法を適用する。
また、タイヤ公取協はタイヤの表示に関する公正競争規則施行規則第11条第8項の規定に基づく届け出があった試験に関するデータを同団体のウェブサイトで一般消費者向けに公開する。
低車外音タイヤの定義は、定められた試験方法で算出された車外騒音(通過騒音)性能が基準値を超えない製品としており、乗用車用の断面幅が185mm以下のタイヤの場合、基準値の70dB(A)を超えないものが該当する。
なお、シビアスノータイヤやエクストラロードタイヤ、レインフォースドタイヤやこれらの組み合わせのタイヤの場合は基準値を1dB(A)引き上げる。
あわせて、「低車外音タイヤ」の表示は低車外音タイヤの性能要件を満たすタイヤラベルやカタログ、各社ウェブサイトといった販促物に「低車外音タイヤ」やそれに類する文言、低車外音タイヤを表すアイコンを掲示することで行う。
同協会は低車外音タイヤの普及促進のため、製造業者などのウェブサイトやカタログ、販売業者の小売店舗における印刷物や口頭による同制度の趣旨の情報提供に努めることを推奨している。特に、走行音の低減が道路沿線環境の向上に寄与することや一般的ではない「低車外音」という用語の性能の内容について説明することを求めている。