横浜ゴムはOHT(オフハイウェイタイヤ)の生産能力増強のため、印アンドラプラデシュ州で建設を進めてきたヴィシャカパトナム工場で生産を開始した。OHTは世界的に旺盛な需要があり、同社の生産財タイヤ事業の重要な柱となっている。今回の新工場の稼働により、供給体制を更に強化する。
横浜ゴムは8月16日にアンドラプラデシュ州のジャガン・モハン・レディ州首相らを招いて開所式を開催した。横浜ゴムグループからは取締役常務執行役員OHT事業部長のニティン・マントリ氏が参加。開所式で挨拶に立ったマントリ氏は、「この生産能力の増強によって世界中のお客様への商品供給リードタイムを短縮していく」と述べた。
新工場は農業機械用タイヤなどOHTの生産販売子会社、YOHT(ヨコハマ・オフハイウェイタイヤ)の生産能力増強を目的として当初2023年第1四半期から開所する予定だったが、世界的なOHTの需要増に対応するため前倒しで生産を開始した。
YOHTは現在、インドにダヘジ工場(グジャラート州)とティルネルヴェリ工場(タミル・ナドゥ州)を有しており、主力ブランドであるALLIANCE(アライアンス)、GALAXY(ギャラクシー)、PRIMEX(プライメクス)の農業機械、建設車両、産業車両、林業機械用タイヤなどを生産販売している。同社は市場の成長率を大きく上回る成長を続けており、これに対応するためダヘジ工場の生産能力を1.6倍に引き上げる拡張に加え、2020年第3四半期からヴィシャカパトナム工場の建設を進めてきた。
新工場の年間生産能力はゴム量で第1期が日量69トン、第2期増強分を加えて日量132トンを計画しており、第2期の生産開始は2024年第1四半期を予定している。敷地面積は約39万平方メートルあり、将来の能力増強も検討していくという。
横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画のタイヤ生産財戦略においてOHT事業を成長ドライバーと位置づけている。同社では「YOKOHAMA(ヨコハマ)、アライアンス、ギャラクシー、プライメクス、AICHI(アイチ)のマルチブランド展開と顧客要望への対応力を強みに事業拡大を図るとともに、生産能力増強によりグローバル競争力の強化を加速していく」としている。