ブリヂストンは8月26日、トラック・バス用タイヤを生産する米ウォーレン工場の生産能力を増強すると発表した。総投資額は約700億円で、2026年末までに同工場の生産能力は現在の年間350万本弱から450万本弱に高まる。
同社はグローバルでプレミアム商品を「創って売る」体制の強化に向けた投資を進めており、今回の生産増強もその一環となる。同社グループの米国の供給体制は従来から地産地消をベースにしており、トラック・バス用タイヤの米州での地産地消率は昨年実績で約85%だった。ただ、現在の供給体制では今後のプレミアムタイヤ事業強化による拡売により、地産地消率が約70%に低下する懸念があるという。
石橋秀一CEOは、「米国のトラック・バス用タイヤ市場において従来からリーディングポジションを獲得している。今後、グローバルでプレミアムタイヤ事業を強化していくにあたり、最重要市場である米国でのトラック・バス用プレミアムタイヤの現地生産能力アップおよびシェアアップ・拡売は不可欠なものと考え、増強を判断した」とコメントを発表した。
さらに、「循環ビジネス時代の『新たなプレミアム』と位置付けるトラック・バス用タイヤの『ENLITEN(エンライトン)ビジネス戦略』も重要な戦略的成長投資として実行していく」と展望を示す。米国で既にリトレッドを含めた循環ビジネスの基盤を構築しているタイヤセントリックソリューション事業、米国内に約3000拠点以上を保有するトラック・バス用タイヤのサービス・ソリューションネットワークと連携することで、社会価値・顧客価値の最大化に取り組む。
また、ウォーレン工場は技術イノベーションやサステナビリティの観点においても「グループの重要な生産拠点」として将来のグリーン&スマート工場化を見据えて進化させていく計画。
具体的にはCO2排出抑制技術の導入のほか、従来の自動化技術にデジタル技術を加えてAI(人工知能)制御を可能とすることで暗黙知を形式知化し、属人的なモノづくりからの脱却を進める。
なお、今回の設備投資により、同工場で生産する全てのタイヤへのRFIDタグの取付けが可能となり、生産日時、検査情報、出荷日時、車体への取付け日時、点検情報など個々のタイヤに関する情報を瞬時に登録・確認できるようになる。
これにより、個々のタイヤデータを踏まえた効率的なリトレッド・メンテナンスサービスなど、安全運行とオペレーションコストの最適化に貢献するソリューションを事業者へ提供していく。