中国のZCラバーが展開するCHAOYANG(チャオヤン)ブランドのトラック・バス用タイヤを販売するヨロズ物流(大阪府富田林市)はこのほど、タイヤサービスカー事業をスタートした。チャオヤンタイヤのユーザー向けに出張サービスの専門会社を立ち上げて、主に南大阪地区で交換作業を提供する。同社では「輸送業界では2024年問題が迫る中、タイヤ交換にかかる時間を削減し、お客様の要望にお応えすることでビジネス拡大の可能性はある」と展望を示している。
新会社の名称はエイトシステムで、大阪府南河内郡にある建設会社、㈱岸本組が新規事業として展開する。今回の事業は、ヨロズ物流の新谷剛社長と岸本組の岸本潤社長が以前からビジネスでのつながりがあったことから実現したもの。エイトシステムはヨロズ物流の協力会社としてチャオヤンタイヤの整備作業や営業活動で協業していく。
エイトシステムのスタッフは現在4名。新規事業を開始するにあたり、トラックタイヤの出張作業は未経験だったため、京都府にあるタイヤ専業店でロードサービスカーに同乗するなどして数カ月間研修を受けたという。
サービスカーはまず1台を導入した。自社でタイヤ交換などに必要な機材、整備の人材がいない中小の運送会社をターゲットに、タイヤ購入と出張サービスをセットで提案していく。
ヨロズ物流の栗岡史郎氏は、「近年、全国で出張サービスのニーズが増えている。時間外労働が制限される2024年問題が目前に迫る中、タイヤ交換の時間を削減できるのは労務管理上でもメリットがある」と話す。その上で、「休日に整備を行うなど、お客様の要望にお応えすることがビジネスの可能性につながり、出張サービスのボリュームは増えていくのではないか」と期待感を示す。
今後はエイトシステムとして顧客を増やしつつ、サービスカーの台数や出張エリアの拡大を検討していく。さらに、運送会社からのニーズに応える形でタイヤの保管サービスを手掛ける可能性もあるという。
栗岡氏は「どこかにヤードを作ることは今後検討していく。エイトシステムがお客様のタイヤをしっかりと保管することによってリピーターの拡大へつなげたい」と話す。
ヨロズ物流がチャオヤンジャパンを発足し、国内向けに販売を始めてから約1年半。取り引き先は200社以上に広がっている。営業担当の田中正悟氏は「製品が安かろう悪かろうでは市場から消えている。『タイヤの価格は安いが性能は良い』と評価して頂ける機会が増えている」と手応えを話す。さらに、「チャオヤンタイヤをリピートで装着して頂いている方からは『せっかく導入したのだから納入を止めてしまっては困る』と言われており、我々としても前に進むしかない」と決意を示す。
一方で栗岡氏は「もっとブランド認知度を高める必要がある」と課題を話し、「20年後、30年後には仏ミシュランや米グッドイヤーの日本法人のように“チャオヤンジャパン”として多くの人から認知されるようにしていきたい」と将来を見据える。
同社では、出張サービス事業を“チャオヤンタイヤの武器”として早い段階で軌道に乗せ、更なる新規開拓、リピーターの獲得につなげていきたい考えだ。