ブリヂストンは11月10日に開催した決算発表会で、2023年までの中期事業計画の進捗を報告した。会見では、供給マネジメントの推進や、プレミアムタイヤの拡売・シェアアップで、2022年通期の売上収益が2023年計画水準を上回る4兆円超に達する見込みを明らかにした。
タイヤ事業では、欧米で新車用タイヤから市販用への回帰需要を取り込み、市販用乗用車用で18インチ以上の高インチタイヤのシェアが伸長した。また、グローバルの各工場で高インチタイヤやENLITEN(エンライトン)技術に対応する設備置換などを進めており、増強完了までの投資額は合計約670億円となる見込み。
さらに、“EV時代の新たなプレミアム”として同技術搭載タイヤの新車装着を拡大しており、来年1月にはグローバル初の市販用エンライトン搭載タイヤ「トランザ6」を欧州で発売開始する。
石橋秀一グローバルCEOは「欧州はプレミアムマーケットにおける世界のリーダー」とした上で、「最高級商品の『トランザ』を欧州から販売し、レピュテーション(評判)を勝ち取っていくことはグローバルでも重要なマーケティングになる」と期待を示した。
さらに、トラック・バス用でもプレミアム商品の生産体制を強化し、鉱山用・二輪車用などとあわせて増強完了までに約1800億円を投じる。
デジタル分野の強化にも注力し、タイヤモニタリングシステム「タイヤマティクス」サービスの拡充に加え、タイヤのライフサイクルを通じた個体管理を可能にするRFIDタグの導入を進める。同社は2019年に欧州でRFIDの搭載を開始しており、2030年には欧米・日本で使用されるトラック・バス用タイヤのほぼ全てに搭載することを想定している。これにより、タイヤを安全に、長く、効率的に使用できる循環ビジネスモデルの確立を推進し、サステナビリティへの貢献も図っていく。