ブリヂストンは2月1日、東京都小平市の研究開発拠点で説明会を開き、知能ロボットシステムを開発・販売するアセントロボティクスと資本業務提携契約を締結したと発表した。両社は今後、ブリヂストンのソフトロボットハンドとアセントロボティクスのAI(人工知能)ソフトウェアを組み合わせたピースピッキングロボットシステムの開発、実用化を目指し、ソフトロボティクス事業を2024~2026年の間に展開する。なお、ブリヂストンによるアセントロボティクスへの出資額は5億円。
同システムは、ソフトロボットハンド、AIソフトウェア、カメラを組み合わせ、品物を一つひとつ運び出す作業であるピースピッキングを行うもの。
ブリヂストンは、タイヤやホースの開発・生産におけるノウハウを活用したゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)の開発を行ってきた。このゴム人工筋肉の柔軟性、耐衝撃性、軽量・高出力といった特徴を活かし、ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンドを用いることで、様々な形・硬さ・重さのモノを「いい感じ」(同社)につかむ動作を実現し、ピースピッキング作業を自動化することを目指している。
2022年7月には、複数のパートナーとともに物流倉庫等におけるピースピッキング自動化に向けた実証実験を開始。2023年1月には同社初の社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を設立するなど、ソフトロボティクスの事業化に向けた取り組みを加速してきた。
ブリヂストンは今回の資本業務提携を通じて、ロボットの「手」を同社のソフトロボットハンドが、「目」と「頭脳」をアセントロボティクスのAIソフトウェア群が構成するピースピッキングロボットシステムを開発する。これにより、物流の作業現場でロボットが対象物を即座に認識・判別し、多種多様なモノを最適につかむことで、対象物や状況に応じて自律的に作業することを可能にする。
今後、ブリヂストンは同システムを物流に関わる事業者などに提供していく予定。さらに、「こうした取り組みを通じて、現在はヒトの器用さに依存している物流現場でのピースピッキングの自動化の実現を目指す」(同社)。
同社では、「近年、Eコマースの拡大などによる物流需要が増加する中、少子高齢化に伴う労働力不足や新型コロナウイルスに起因する非接触化ニーズの高まりを受け、物流業界では作業の自動化が求められている」と分析。その上で、「この課題を解決する選択肢として、ヒトと協働することができるソフトロボティクスが注目されている」と説明している。
ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズCEOの音山哲一氏は「ソフトロボティクスが人々の暮らしに寄り添い、それを支える新しい社会を実現していきたい」とコメントした。