横浜ゴムは2月7日、北海道旭川市にあるタイヤ試験場「北海道タイヤテストセンター」(TTCH)の敷地内に新たに開設した「屋内氷盤旋回試験場」のお披露目式を開催し、施設を報道陣に公開した。新施設はこれまで屋外で行っていた冬用タイヤの氷上旋回性能を屋内でテストするもの。安定した路面環境で天候に左右されずにデータの計測や収集ができるようになり、今後の冬用タイヤ開発の効率化、更なる性能向上につなげていく。
冬タイヤの開発効率化へ
屋内氷盤旋回試験場は、ユーザーからのニーズが高まっている氷上旋回性能の向上を目指して今年1月に稼働した。屋外での試験と比べて天候や気温など外的要因の影響を受けにくく氷面状態を安定的に保つことができるため、試験データの精度が向上し、より高度な技術開発を効率的に行えるようになる。同社によると、氷盤旋回の屋内試験施設としては国内最大を誇るという。建物は全長56m×全幅56m、室内高(最高部)12.3m、氷盤面積1960平方メートルで、旋回半径10~22mまでの試験が可能となっている。
式典で横浜ゴムの清宮眞二取締役執行役員(技術統括兼品質保証本部担当兼タイヤ製品開発本部長)は「旭川市にテストコースを構えて今年で8シーズン目になるが、当社は冬用タイヤの開発で一貫してアイス性能を追い求めてきた。2018年1月に屋内氷盤試験場を開設し、さらに2020年11月には同施設に氷の表面温度をマイナス10~0度までコントロールできる国内最大級の冷媒装置を設置した」と話した。
その上で、「スタッドレスタイヤの性能は更なる向上が求められている。市場では“氷で止まる”の次に“氷で曲がる”時の安心も求められている。降雪による交通障害などが起きる中、冬用タイヤの安全性は一層重要になってくる。ここTTCH、屋内氷盤試験場や屋内氷盤旋回試験場を活用して性能を向上させ、お客様の安心安全に貢献する製品を開発していきたい」と力を込めた。
また、来賓として出席した旭川市の今津寛介市長は、「旭川の試験場を通じて開発された製品が国内外で皆様の安心安全につながっていることを考えると非常に誇りに思う。今回新しく開設した施設で更に技術革新が進んでいくのではないか」と期待を述べた。
横浜ゴムは2015年12月にTTCHを開設して以来、タイヤ事業のグローバルな拡大に対応するため、試験・評価手法の高度化を進めてきた。今回完成した旋回試験場は、屋内氷盤試験場に隣接しており、両施設での試験を効率的に組み合わせることで、冬用タイヤの開発を加速していく考えだ。