住友ゴム工業は2月14日、2023年から2027年までの5カ年の新中期計画を発表した。2025年までにこれまで苦戦が続いていた北米事業の収益改善に取り組むとともに、既存事業の選択と集中、組織体制の再構築などを進めて高収益体質を目指す。
同社は2020年2月に5カ年の中期経営計画を公表していたが、新型コロナ禍による影響などを受けて利益面での減少が顕著だった。特にタイヤ事業では北米での利益悪化、固定費・変動費の増加が収益を押し下げる要因になっていた。
今回発表した計画では、まず北米事業の立て直しに取り組む。旺盛なタイヤ需要に対応するため、現地工場の生産体制を改善するとともに、「あらゆる選択肢を検討し、2025年までの収益化に向けた目処付けを行う」(山本悟社長)という。さらに、現在は20%にとどまる地産地消比率を40~45%に高めるため、2026年以降に新拠点を立ち上げるための検討を開始した。
また、既存事業のポートフォリオ最適化にも取り組む。収益性が低い事業の比率を3割に縮小し、高性能タイヤや成長が期待できる事業の割合を7割に拡大する。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)経営を軸に、製造・販売の効率性向上、生産・物流の最適化を図るほか、デジタル人材の育成も推進する。
2027年の財務目標は事業利益率7%、ROE(自己資本利益率)10%などと策定した。山本社長は「各施策に全社でスピードを上げて取り組み、2027年目標の確実な達成に取り組む」と意欲を語った。