ENEOSマテリアルと横河電機は3月30日、三鷹市の横河電機本社で、化学プラントへの自律制御AIを活用できるサービスを開始すると発表した。
このサービスを提供する背景として、「実プラントでは物理的・化学的な事象が複雑に影響する中での制御の難しさから、熟練運転員が介入しなければならない制御箇所が数多くある。しかも品質や収益に直結するような、難しい制御であることが少なくない」とする。
既存の制御技術には、PID制御と高度制御(APC)と呼ばれるものがあり、長い時間と多くの労力をかけた調整が必要となる。さらにそれらの制御が適用できず、運転員の経験による手動制御しかできていない箇所もある。
今回のサービスの要となる自律制御AIの活用は、前出の制御とは異なる新しい技術。タイヤ材料の汎用合成ゴム原料の一つであるブタジエンプラントがその対象の一つとなる。蒸留精製塔の熱回収において、DCS(分散制御システム)経由で手動操作しているプロセスをAI制御で自動化するというもの。今回の発表によると、35日間連続制御成功の後、再稼働で約1年間問題なく制御することができたという。
さらに製品品質を維持しながら、AI制御による廃熱利用の最大化を図ることで、液面の制御に従来使用されていた約40%の蒸気使用量とCO2排出量の削減を達成。オペレータの監視・操作の負荷を低減させるのも効果の大きい点の一つだ。