カーボンニュートラル実現に大きく前進
住友ゴム工業は18日、福島県の白河工場で「水素ボイラーを活用したタイヤ製造」の現場を報道関係者に初公開した。また白河市内の会場でこの公開を記念する披露式典を開催した。同社では2023年から27年までの「新中期計画」を発表。その中でESG経営をより一層推進するとし、カーボンニュートラル(CN)に重点的に取り組む姿勢を明らかにした。今回の白河工場における水素ボイラーの活用で、CNを目指す同社の挑戦が大きく前へと進む。
今回の「水素ボイラーを活用したタイヤ製造」=写真上=は、NEDOの助成を受け2021年8月から実証実験を開始した。ボイラーが安定して稼働し品質面でも問題なくタイヤを製造できることを確認。今年1月から高性能タイヤ「FALKEN AZENIS(ファルケン アゼニス) FK520」=写真中、水素ボイラーによる製造第1号タイヤ=の量産をスタートした。
同社の調べによると、2030年CO2排出量を基準年の2017年比50%削減、2050年で0%というCNスコープ1、2を日本で初めて達成。また今年中にスコープ3削減目標を策定し公表する計画だ。
なお、披露式典には山本悟社長=写真下・中央=、齋藤健司執行役員タイヤ生産本部長ら同社関係者が出席。来賓として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の大平英二氏=同左=、国立研究開発法人産業技術総合研究所の古谷博秀氏=同右=が参加した。
来賓挨拶に立った大平氏は「水素はCNを達成するために意義は大きい。作業プロセスの中で水素をどう使うか、それも研究所の中でなく実機で使うのは非常にチャレンジングな取り組みだ」と高く評価。
また古谷氏も「水素を使ってタイヤをつくるというのはオリジナリティがある。タイヤの製造でCNを達成するのはかなりむずかしいと思われるが、その一番むずかしいところにチャレンジするからこそ価値がある」とし、一連の取り組みによるCN達成に大きな期待を寄せていた。