横浜ゴムと信州大学、亀裂が進みにくいゴム材料を開発 タイヤの耐久性向上に期待

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カテゴリー: ニュース

 横浜ゴムはこのほど、信州大学との共同で亀裂(クラック)が進みにくいゴム材料を開発した。

微粒子フィルムの形成プロセス図と製した微粒子フィルムの切れ目からの引裂試験の様子
微粒子フィルムの形成プロセス図と製した微粒子フィルムの切れ目からの引裂試験の様子

 これは同社と信州大学学術研究院(繊維学系)の鈴木大介准教授らの研究グループとの共同研究によるもの。開発したゴム材料は高分子微粒子を活用し、有機溶剤や補強剤などの添加剤を使わずに、亀裂に対し高い耐久性を有するという。

 この研究で得た知見をもとにさらに研究を進めることで、人や環境にやさしく、より安全で耐久性の高いタイヤやゴム製品の開発に繋げることが期待できる。また、開発したゴム材料は簡単に劣化なくリサイクルすることが可能で、サーキュラーエコノミーへの貢献も期待される。

 具体的には、重合方法の一つとして知られるミニエマルジョン重合法によって合成した高分子微粒子(以下、微粒子)と、その微粒子分散水溶液(以下、分散水溶液)を用い、分散水溶液から水を蒸発させ作製した微粒子フィルム(ゴム材料)を活用し研究を実施した。

 この微粒子フィルムは超分子化合物として知られるロタキサン分子を微粒子の内部に架橋剤として導入することで、補強剤などその他の添加剤を一切使用せずに、切れ目から亀裂が広がりにくい性質を持たせることに成功した。また、この微粒子フィルムはゴム材料としての高い伸縮性も維持している。

 さらに、微粒子のみから作製した微粒子フィルムは、環境負荷の小さい水とエタノールの混合溶媒に浸すだけで微粒子個々に分解することができたという。その後、揮発性の高いエタノールのみを蒸発させて元の微粒子と水から成る分散水溶液に戻すことができるため、同じ微粒子フィルムを簡単に劣化なく再生することが可能となった。


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