日本自動車機械工具協会が自動車機械工具の販売実績を発表。前年比4%増

ES向上を図る事業者の増加反映し

柳田昌宏会長
柳田昌宏会長

 日本自動車機械工具協会(機工協)がまとめた令和4年度の自動車機械工具販売実績によると、会員企業の総売上金額は前年度比4.1%増の1211億94百万円だった。柳田昌宏会長は「1997年以来の1200億円超えの販売実績は、コロナ禍下でもお客様の様々なニーズに迅速かつ的確に対応してきた結果と言える。今後もより良い整備機器を軸に、お客様の経営課題解決に向けた積極的な提案を行い、新しいモビリティ社会実現の一翼を担っていく」とコメントした。

自動車機械工具販売実績統計対比表
自動車機械工具販売実績統計対比表

 商品カテゴリーで見ると19項目中、11項目が前年度を上回り、特に車検機器(131億円)、リフト・ジャッキ・プレス(226億円)、エアーコンプレッサー(31億6千万円)の3項目が、過去17年間で最高金額となった。

 カテゴリー別の需要規模(総合計金額に占める割合〔構成比〕)が大きい以下の6項目中4項目(リフト・ジャッキ・プレス/車検機器/ハンドツール/ブレーキ・ホイールサービス機器)が増加した。

 リフト・ジャッキ・プレスは総金額の18.6%で、前年度比106.0%。全体的に数量は減少したが金額は伸長した。要因として鋼材・電子部品の価格高騰からの価格改定(値上げ)が影響したと考えられる。

 エアーコンプレッサーは前年度比115.1%。経年による代替需要から台数、販売金額ともに伸ばしている。なかでも環境・近隣への配慮から静音であるパッケージ型への切替も見られる。

 インパクトレンチなどの空圧電動工具については約34億円で前年度比123.2%。電動インパクトレンチが伸びている。これは取り回しが面倒なエアーホースからのコードレス化、静音、トルク管理が考えられる。また、トルク制御ナットランナーも伸ばしており、コンプライアンス強化、脱輪防止への意識向上が見られる。

 アライメントテスタ・ホイールバランサー・タイヤチェンジャーなどのブレーキ・ホイールサービス機器は全体の6.1%にあたる約74億円で、前年度比101.8%。アライメントテスタは堅調に推移しており、エーミングの前提作業の意識の表れが見られる。ホイールバランサー、タイヤチェンジャーは台数こそ減っているが販売単価は上がっており、大口径化、ES向上(省力化・軽労化)への対応として高規格機種へのシフトが考えられる。

 全体をまとめて見てみると、増加に影響した要素として、顧客企業業績の好転による設備投資増、社会的要請(メカニック不足に起因する作業効率化・働く環境改善/コンプライアンス対応)、製品値上げ等が挙げられ、今後も継続すると思われる。影響が認められなかった要素では、自動車市場動向におけるEV対応であり、保有台数増にリンクし、今後伸長と予測している。マイナスに影響した要素としては、半導体をはじめとする資材不足があるものの、徐々に解消することが期待されている。


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