TOYO TIRE23年12月期第2四半期
TOYO TIREが10日発表した23年12月期第2四半期連結業績は、上期累計の売上高が前年同期比18.7%増の2655億円を計上。過去最高となった。営業利益も海上輸送費や為替など外部環境が追い風となり同2.7%増。一方四半期純利益は有価証券売却益の減少などで同6.1%減と前年同期を下回った。
事業セグメント別で、上期累計のタイヤは売上高が同18.9%増。北米でのライトトラック用タイヤの販売が伸長した。営業利益が同0.2%増。
所在地別の上期累計実績は、日本は売上高557億円(同22.2%増)・営業利益229億円(同73.9%増)、北米売上高1743億円(同18.5%増)・営業利益997億円(同4.4%減)、その他売上高354億円(同14.4%増)・営業利益20億円(同20.8%減)。
なお、この日発表した第2四半期連結業績は、2月に公表した予想値から差異が生じた。これは同期間に原材料の高騰と海上運賃の値上がりなどが想定を下回ったこと、為替相場が円安に推移したこと、経費削減の効果が加わり営業利益と経常利益で2月の予想を上回った。さらに四半期純利益ではTAP解散にともなう特別損失を計上したが、前記の増益要因により2月発表時の予想を上回ったという。
売上高、利益ともに予想を上方修正
TOYO TIREは10日、23年12月期通期の連結業績予想について修正した。これは最近の業績動向と6月に公表した投資有価証券の売却益を踏まえたもの。
連結売上高は2月発表予想の5400億円から200億円増加の5600億円へと上方修正した。利益面も、営業利益は同500億円から100億円増の600億円、経常利益は同430億円から180億円増の610億円、当期純利益は290億円から260億円増の550億円と、上方修正した。なお通期タイヤ事業の営業利益は過去最高の見込みだという。
また、年間配当金は前回予想で1株あたり55円を計画したが、今回1株あたり78円に修正した。第2四半期末で20円、期末に58円を実施する計画。なお前期の年間配当実績は1株あたり80円。
TOYO TIREが全額出資の米国自動車部品生産子会社を解散
自動車部品事業の体質改善を加速
TOYO TIREは10日、全額出資の米国生産子会社Toyo Automotive Parts(USA),Inc.(米国ケンタッキー州、崎富博社長。以下TAP)の解散を発表した。
TAPは2001年2月に設立。北米市場で自動車メーカー向けに自動車用防振ゴムや等速ジョイントブーツを製造し供給を行う。しかし材料費やエネルギー費、人件費などのコスト高騰により収益性の維持・向上の見通しが立たない状況にあるという。経営資源の最適化、自動車部品事業の体質強化を図るため、TOYO TIREはTAPの解散を決めた。
予定ではTAPはことし10月31日付で生産を終了。11月30日までに解散の手続きを開始する。TAPで生産する商品はTOYO TIRE桑名工場に生産を移管。米国では生産拠点から商品供給を受け、Toyo Tire North America OE Sales LLCが販売を継続する。
TAPの生産終了と解散にともない、TOYO TIREは23年12月期第2四半期決算の中で減損損失3億7千万円と関係会社整理損33億86百万円、合計37億56百万円を特別損失として計上済み。またTAPの清算手続きの一環としてTOYO TIREのTAPに対する貸付金債権1億2千万米ドル(清算時の債務超過見込額)を債権放棄する。
TOYO TIREはTAPの従業員に対し退職後の就職支援を行うとし、今後同社のクロージングに向けた資産整理を進めていく。
同社の清水隆史社長は10日開催の23年第2四半期連結決算説明会でTAP解散について触れ、「収益性改善に向け北米での事業体制を見直した。EV向けなどニーズに沿った新商品の開発に注力する。自動車部品事業を25年までに黒字化することを目標としており、早期達成に向け事業体質の改善を加速する」と説明している。