住友ゴム工業と東京大・茨城大の研究グループ
住友ゴム工業と東京大学、茨城大学との研究グループは、タイヤゴムに使用されるフィラー(材料の中に添加される微粒子状の物質)の一つであるカーボン微粒子と高分子(ポリブタジエン)の動く様子を、世界最高速度890ナノ秒(10億分の1秒)の時間分解能で計測することに成功した。
同社研究開発本部分析センターの岸本浩通センター長らの研究グループは、ドイツのハンブルクにある欧州X線自由電子レーザーを用いカーボン微粒子と高分子の動きの同時観察に成功。また、微粒子と高分子の複合材料について、各成分の運動計測を原子サイズの高精度で実現し、両者が接する界面付近の結合状態が異なると両成分の動きも変化することを実証した。
タイヤゴムのような複合材料系では、異種成分間の界面付近における微粒子や高分子の動きを把握することが、タイヤの性能を評価する上で重要とされる。今回、ナノ秒レベル、原子サイズでの高精度で、これらの動きの分子運動計測を世界で初めて可能とした。
本計測法は特に微粒子を用いた極めて多様な材料系の評価法として非常に有効で、この活用によりゴム劣化の早期診断や耐久性を向上させる材料開発などで時間短縮が期待できるという。