大型車の車輪脱落事故防止に向け道路運送法を一部改正、10月1日から施行予定

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カテゴリー: ニュース

タイヤ脱着・増し締め作業の管理記録簿が必要に。違反は行政処分の対象

「大型車の車輪脱落事故防止対策について」講演
「大型車の車輪脱落事故防止対策について」講演

 9日、全国タイヤ商工協同組合連合会(全タ協連)の「第33回青年部協議会」がさいたま市内で開かれた。その会議で、国土交通省関東運輸局自動車技術安全部整備課の山田満氏が「大型車の車輪脱落事故防止対策について」をテーマに講演。山田氏は国交省が先に設置した「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」の中間とりまとめ概要などの資料を示し、同事故に対する未然防止の徹底を強く訴えた。

 

 山田氏によると、この10月から整備管理者向けの規制が大きく変わる予定だという。具体的には、国交省は8月、「自動車運送事業者に対する行政処分等の基準及び整備管理者制度の運用の改正について」のパブリックコメントを募集し9月中旬に締め切った。そのなかで「大型車の車輪脱落事故防止」にフォーカスした部分の改正内容は次の通りで、10月1日から施行する方針を明らかにした。

 

 「道路運送車両法の一部を改正する法律等の施行に伴う整備管理者制度の運用について」(平成15年自動車交通局長通達〔国自整第216号〕)等、以下の改正を行い、違反を新たに行政処分の対象に追加する。

 

 ①整備管理者の業務及び役割に以下を明記。(ア)大型車(車両総重量8トン以上、または乗車定員30人以上の自動車)を保有する場合のタイヤ脱着作業や増し締め等の保守管理を実施すること、または整備工場等に実施させること。(イ)点検整備記録簿、タイヤ脱着時の作業管理表(大型車)、その他の記録簿を管理すること。

 ②整備管理規定にタイヤ交換等の自家整備作業要領を具体的に記載することを明記。

 ③整備管理者選任前・選任後研修カリキュラムに大型車の車輪脱落事故の事例及びその防止対策を追記。

 ④大型車のホイールボルト折損等による車輪脱落事故を惹起した運送事業者に対し、行政処分を実施(道路運送車両法第47条第1項関係) 初違反20日車、再違反40日車。

 ⑤一定期間に複数回の上記事故を惹起した整備管理者に対し、解任命令を発令。④による再違反の処分となる場合。

 

グラフは、プレゼン資料「出典・自動車事故報告規制に基づく報告及び自動車メーカーからの報告」
グラフは、プレゼン資料「出典・自動車事故報告規制に基づく報告及び自動車メーカーからの報告」

 山田氏は「整備管理者がホイールナットの増し締めを自分のところで必ず行うか、もしくはできなければ整備工場等で必ず実施させるか。それをしっかりと管理するという点が厳しくなる。それに合わせ、大型車の車輪の脱着や増し締めをしたときの作業管理表をつくり保管しなければならない」と、改正の要点を指摘。

 「これまでは3カ月点検、6カ月点検などで記録簿を保管するというものだったが、大型トラックや大型バスのタイヤ脱着作業を行う場合も作業管理の記録簿を保管しなければならなくなる。脱着作業を行った際、お客様には『50キロ〜100キロ走行後に増し締めを行ってください』と必ず伝え、その説明をしたことをチェックボックスに印を打つなど記録として残し、写しを渡すことが肝要だ」と解説した。

 車輪脱落事故の撲滅のために、山田氏は「劣化・損傷した部品を使用したり、給脂を怠ると軸力が低下する。軸力が一定以上低下するとナットの緩みが加速度的に進行することから、不適切なタイヤ脱着作業が車輪脱落事故につながる」「給脂作業に二硫化モリブデン配合の潤滑剤を使用すると、必要以上に軸力がかかってしまい、ボルト折損につながる」「トルクレンチは精密機械である。適切なトルク管理を可能にするため、適切な時期(メーカーは1年以内を推奨)で校正を受ける」ことについて、一層の周知と啓発が必要だと述べた。


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