横浜ゴムは、先端計測と計算科学を組み合わせた化学反応可視化技術を開発し、タイヤ内のゴムとスチールコードの接着老化反応のメカニズムを解明した。接着老化を抑制する研究に応用することで、耐久性を大幅に高めたタイヤなどの開発が期待できる。
この研究は名古屋大学唯研究室、国立研究開発法人理化学研究所、北陸先端科学技術大学院大学ダム研究室、高輝度光科学研究センターとの共同研究により実施。同社のAI利活用構想「HAICoLab」(ハイコラボ)に基づく。
今回の研究では、「SPring−8」や「XAFS−CT」を用いゴム中に真ちゅうの粒子約1000個を加えた接着モデルの老化過程を観察。1000個中802個で接着老化が起こる際の銅の拡散状態や化学反応の計測データを取得し、さらにこのデータを計算科学技術により分析したところ、ゴム中に拡散された銅の化学反応が5通りに変化することが判明した。
今後はこれらの結果に基づいて接着老化反応をコントロールする技術の研究を進め、老化しにくい材料配合や新素材などの開発に活用するとともに、今回の技術を応用し放射光などの先端計測で得られたビッグデータへのAI利活用を加速していくという。