〝世界を変えていく情熱〟をキーメッセージに
1963年「第1回日本グランプリ」を端緒に、本格的なモータースポーツ活動を開始したブリヂストン。今年で活動60周年を迎えた。15日、都内で「極限への挑戦 次のステージへ」と銘打つプレスブリーフィングを開催。石橋秀一取締役代表執行役Global CEO=写真上=は「サステナブルなグローバルモータースポーツ活動を強化する」と発表。あわせて、FIAより「ABB FIAフォーミュラE世界選手権2026―2027シーズン」の単独タイヤサプライヤーに選定されたことを明らかにした。FIA選手権への復帰は15年ぶり。
ブリヂストンは「E8コミットメント」のなかで「モータースポーツ文化の発展を支えていくことを、タイヤメーカーの『原点』と位置づける」と打ち出す。それを踏まえ、石橋CEOは「レースを『走る実験室』として、極限の状態で技術を磨き、〝From Circuit to Street〟のコンセプトの下、次のステージの市販用タイヤの開発へとつなげ、深化させていく」と語った。
石橋CEOはモータースポーツ活動について、「第1回日本グランプリから始まり、様々なレースに挑戦しながら活動をグローバルに拡大。97年から2010年の14年間はFIA世界選手権レース、F1へ参戦。242戦、175勝を支えた」と振り返り、F1への参戦が「大きなマイルストーンとなった」と評した。
また、これまでの活動を「極限への挑戦」とし、「そこで磨かれた〝Passion for Excellence〟、すべての瞬間でエクセレンスを追求する情熱や技術力、ブランド力はプレミアムタイヤビジネスの基盤となる」と総括。そのうえで、「60周年を迎えたことを機に、モータースポ―ツ活動に懸ける情熱を再確認。活動を進化させる決意として、〝Passion to Turn the World〟『世界を変えていく情熱』というメッセージでお伝えしたい」と語った。
石橋CEOは「進化の中核は商品設計基盤技術『ENLITEN』(エンライトン)だ」と指摘。発表会に同席した常務役員・製品開発管掌の草野亜希夫氏=写真下=は次のように解説した。
「モータースポーツはブリヂストンの原点。タイヤは命を乗せている——これを大前提に極限の場を徹底的に走ることで人が育ち、技術が磨かれ、タイヤを極める」
「コア技術は、ナノレベルのポリマー設計からタイヤでの性能評価まで一気通貫で開発できること」
「東北大学の次世代放射光施設『NanoTerasu』などを活用し、ゴムを見る・解く技術を進化させ、ゴムを極める。アルティメット・アイなど接地面をリアルで見る技術と進化するシミュレーション技術で接地を極める」
「極限の状況で使用されるモータースポーツタイヤ開発で技術をより早く磨き、アジャイルな開発を加速していく。それにより『究極のカスタマイズ』を目指すENLITEN技術をより早く次のステージへ進化させ、市販用タイヤ開発へつなげる」
さらに、ビジョンとして掲げる『サステナブルなソリューションカンパニー』に向け「原材料調達からリサイクルまで、モータースポーツタイヤのバリューチェーン全体でサステナブル化を一気呵成に進めていく」(石橋CEO)とした。モータースポーツタイヤに使われる原材料で再生可能資源比率65%以上を目指す考え。
同社はモータースポーツの新しいコンテンツとして、国内カーメーカー系チームが主催する「ラリーチャレンジ」の場で「グッドドライバーレッスン」という安全運転講習会をパートナー企業として開催。これは女性ドライバーが多く参加する社会的意義が高いイベントだ。「心動かすモビリティ体験を支えることにコミットしている」(石橋CEO)とし、このような活動をこれからも継続し、グローバルで積極的に取り組んでいくと語った。