タイヤ事業本部が始動  「全体最適とスピードを意識」

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カテゴリー: ニュース

住友ゴム工業 山本悟社長&西口豪一専務

 住友ゴム工業は12日、江東区豊洲の東京本社で2023年度年末社長会見を行った。

山本悟社長
山本悟社長

 山本悟社長=写真上=は2023年度を振り返り、ジャパンモビリティーショーで初公開し注目を集めたアクティブトレッド技術とセンシングコアへの取り組みについて所感を述べた。

 アクティブトレッド技術は、水や温度などにシンクロして性質がスイッチする同社独自のゴム技術。山本悟社長は「まるで〝魔法〟のようなタイヤ」と表現。「24年秋に当技術を一部搭載したオールシーズンタイヤを開発中。第1弾のタイプアイスは氷上性能を向上する。このアクティブトレッドはEV・自動運転に対しても差別化できる技術だ」と、今後計画する商品化に期待を示した。

 センシングコアは路面と接するタイヤをセンサーとして使用しさまざまな情報を計測・数値化する技術の総称。ソフトウェアのビジネスとして2024年から本格的に開始する。山本社長は「センシングコアの機能は現在、『タイヤ空気圧』『路面状態』『タイヤ摩耗』『タイヤ荷重』の四つ。第5の矢である『車輪脱落予兆検知』に続き、第6・第7の矢についても機能の拡張をめざす」と語った。

 このセンシングコアは米国の車両故障予知会社であるViaduct社と共同実証実験を開始した。また、来年1月に米国で開催される世界最大級のハイテク技術見本市『CES2024』にブースを初めて出展し、同技術を紹介。9日には山本悟社長が登壇し世界へ発信する。

 新中期計画の取り組みとして、組織改正を行い、2024年1月からタイヤ事業本部を立ち上げる。それについて、山本社長は、「『全体最適』という考え方と『スピード』の二つを意識した。タイヤ事業は8割以上の売上を占める大きな事業。設計・製造・販売・サービスなどが最高の利益を生むには、どういうコミュニケーションのもとにどういう選択をしていくか、それぞれのベストを追求していくと、なかなか伝わらないこともある。タイヤ事業本部制度とすることで、コミュニケーションは間違いなく良くなる。『全体最適』の考え方とみんなの意見をしっかりと聞きながら、トップがひとりとなることで、ジャッジのスピードが速くなる」と説明した。

西口豪一専務
西口豪一専務

 1月からタイヤ事業本部長を兼務する西口豪一専務=写真下=は「すでに8月の終わりくらいから立ち上げ準備を進めている。本来は縦割りが強く、部門の壁が厚いところを、事業の一気通貫を図るものだ。製造・販売・技術・管理部門の間に埋められなかったギャップを埋めることによって、利益を最大にする。2027年のときには(計画値を)上乗せできるようにしていきたい」と抱負を語った。


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