横浜ゴム 山石昌孝社長
横浜ゴムの山石昌孝社長=写真=は18日、オンラインで年末会見を行い、23年の事業経営について次のように振り返った。
「3月、本社を東京・新橋から神奈川・平塚に移転した。目的は生産・販売・技術・物流の機能を1カ所に集約することにより一体となってスピーディな意思決定を行い、変化の激しい環境に勝ち抜くため。合わせて品川事務所を新設し、リモートによる業務効率化、サテライトオフィスの導入など働き方改革を進めた。第2四半期にトレルボルグ・ホイール・システムズ(TWS)の買収を完了し、新たに「Y-TWS」としてスタートした。第3四半期までの累計決算は売上収益と事業利益のほか、当期利益でも過去最高を達成した」
「タイヤ事業は北米、欧州、中国などで、よりていねいで強力な販売活動と、値上げの浸透、MIX改善などが奏功。売上収益、事業利益は過去最高を達成した。新車用タイヤは中国やタイでの日本車の販売不振を受け、前年同期に対し販売本数は下回ったものの、市販用に切り替えるなどの対応を行った。市販用タイヤは各地域で値上げ価格の維持に努めた。高付加価値品の拡販に努め、北米や中国・インドなどのアジア地域では堅調に推移し、全体では前年同期比の販売本数を上回った。オフハイウェイタイヤ(OHT)では、YOHTは金利の上昇や景気後退懸念によりディーラーの在庫消化に時間を要し、前年同期の販売量を下回った。一方、Y-TWSではブランド力を活かし、需要以上の販売を確保した」
また23年度までの新中期経営計画「YX2023」の進捗のなかで、プレミアムカーへの新車装着が順調に進んだと報告。タイヤ生産財について、「TWSの買収により農業機械用、産業車両用のカテゴリーでティア・ワンからティア・スリーまでのすべてのブランドがそろい、市場競争力を格段に高めた。
当社全体の生産財と消費財の構成比が1対1と適正化されるとともに、生産財ではOHTが2、TBRが1となり、市場に比べより収益力の高い構成比になった。TBR事業では、米国ミシシッピ工場で取り組んできた改善が進み、23年度は年間で過去最高の生産本数を達成する見込み」と報告した。
山石社長は24年度に向け「新たな中計を策定し〝収益を伴った成長〟を引き続き目指す。ポスト『YOKOHAMA Transformation 2023』では〝深化と探索による変革〟の総仕上げをテーマとし、『YX2023』で積み残した課題に対処し負の遺産の解消を行い、次世代にさらなる成長の機会を提供することが果たすべき役割」とし、強い意気込みを示した。