ブリヂストンがこの春の販売戦略の中心に据えるのは「REGNO GR-XⅢ」(レグノ ジーアール クロススリー)だ。商品設計基盤技術ENLITEN(エンライトン)を国内市販用乗用車向けとして初めて搭載し、本年2月から発売を開始した。ブリヂストンタイヤソリューションジャパン消費財商品企画部の塚本淳志氏は、「REGNO GR-XⅢの提供する『深みを増した空間品質』『磨き抜かれた走行性能』『サステナビリティ性能』といった〝これからのタイヤの新しい価値〟をお客様にお届けしたい」と話す。
振り返って
23年度は諸物価の高騰と新車の生産回復という背景があったが、結果としては販売本数は前期比で下回った。市販用タイヤの全体需要環境が厳しいなか、戦略的価格マネジメントの推進とともに、販売MIX改善を徹底した。やはり価格改定が諸物価の高騰も相まって、ユーザーのマインドに一定の影響を与えた点は否めないと考えている。コロナ禍の影響はかなり回復しているが、いまだ2019年の需要は下回っている。
ユーザーの志向変化については、新車装着タイヤを起点としてタイヤの性能をとらえる層が増えていると感じている。一方で新車装着タイヤに満足せず、性能に強いこだわりを持つユーザーも多い。近年の傾向からも、新車装着と同等レベルであれば安心という価格志向のユーザーと、さらなる性能を求める層と二極化が進んでいると考える。
訴求ポイント
24年の予想については、23年のトレンドは引き継いでいくだろう。物価高騰と、一方で市販用タイヤ需要は回復するとみている。そのなかで当社はタイヤ事業にどのように取り組んでいくべきか。価格に見合った商品価値をよりしっかりとユーザーに説明できる環境を整えていくことが大切だ。
販売戦略の目玉は「REGNO GR-XⅢ」になる。当社のプレミアムコンフォートタイヤのフラッグシップブランドとして、『EV時代の新たなプレミアム』と位置付けている商品設計基盤技術のENLITENを国内市販用乗用車向けタイヤとして初搭載している点は大きなトピックだ。
ENLITEN搭載によって『REGNO FEELING』を新たな次元に進化させ、環境性能を引き上げることができた。
本来のREGNOのコンセプトである静粛性の向上はもちろん、走行性能についても、レーシングドライバーの立川祐路さんをテストドライバーに迎え、プレミアムコンフォートにふさわしく走行性能を磨きぬいたことが大きなアピールポイントだ。国産車だけでなく輸入車、EV、幅広い車種に新しい価値が提供できるように考えて開発した商品ということをしっかり紹介していきたい。
あわせて、環境性能として持続可能な製品に対する国際的な指標であるISCC PLUS認証を取得しており、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー実現への貢献もアピールし、当社の強みであるプレミアム領域を強化し、市場拡大をけん引していく。商品ミックスも改善していく。われわれにとって一つのミッションと考えている。
キャンペーン企画
1月の「REGNO GR―XⅢ」の新商品発表会では世界観をしっかり表現し、新商品の登場感を醸成するイベントとなったと思う。ここを皮切りにキャンペーンや異業種とのコラボレーションも進めていきたい。アピールポイントの中でも静粛性はぜひ体感していただきたい。
「REGNO GR―XⅢ」の新技術の一つ、新ゴム「GR―tech Silentゴム」による静粛性の違いを実感できる販促用体感ツール=写真=は既に販売店の店頭に並んでいる。
従来とおりのCMやウェブ動画はもちろんだが、近年の消費者志向のモノ消費からコト消費へのシフトはわれわれもトレンドとして把握している。REGNOを装着した車で旅行へ行っていただく体験型キャンペーンなども企画している。
ENLITENは当社の技術をつぎ込み開発された。従来のタイヤ性能を向上させた上で、タイヤに求められる多様な性能をお客様ごと、モビリティごとにカスタマイズしていく。つまり、ユーザーのニーズに合ったタイヤとなる。
最後にひとこと
REGNOほか、SUV専用設計タイヤALENZA、レース・スポーツ向けのPOTENZA、低燃費のECOPIAなど、当社商品群はそれぞれの特徴や価格にあったタイヤ価値をしっかり持っている。アピールすべきポイントにより注力し、ユーザーの皆様にご理解いただきながら販売を進めていきたい。