ランクセスは19日、都内で23年の事業報告と24年の事業活動に関する記者説明会を開催した。
独ランクセス社の23年業績は、グローバルの連結売上高が前年比17%減の67億1400万ユーロ(約1兆円)、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は同44.9%減の5億1200万ユーロ(約840億4300万円)で着地した。一方、純利益は4億4300万ユーロ(727億1764万円)で、前年の2億5000万ユーロ(410億3704万円)から77%増となった。
厳しい業績となった背景には、顧客の「需要低迷」や「在庫調整」、また「ドイツでのエネルギーコスト高騰」「地政学的な緊張」などがあった。純利益については、アドベント・インターナショナル社との合弁会社・Envaliorの設立が押し上げる形となった。
日本法人も厳しい環境にみまわれた。米津潤一社長は「顧客の在庫調整などが影響し、売上高は前年比でおおよそ20%減だった」と報告した=写真=。
24年の事業について、米津社長は「上半期は需要低迷が続くが、下半期以降は在庫調整が一段落して回復に向かう」と説明。24年業績は「23年の危機的な状況は緩やかに上回るが、例年の水準からは大幅に下回る見通し」として、経営環境は引き続き厳しい局面で推移する見通し。
なお、タイヤ関連製品については、3月19日から21日にドイツで開催されたエキスポで、ゴムコンパウンド向けの老化防止剤「ブルカノックスHS」を展示したことを紹介。含有物の50%以上に持続可能な原材料を使用する。ISCC Plus認証(国際持続可能性カーボン認証)の取得も見込む。
「ブルカノックスHS」は日本での上市は確定していないが、米津社長は「日本を含めたグローバルでの展開を目指す」と話す。こうした環境性に優れた製品のポートフォリオをそろえることで「顧客の環境対応に貢献していきたい」と、今後の事業展開に強い意気込みを示した。