国内タイヤメーカー4社、24年度第1四半期業績を発表  円安を追い風に増益達成

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国内市場は春需の遅れと新車減産響く

国内タイヤメーカー4社の2024年12月期第1四半期の連結業績
国内タイヤメーカー4社の2024年12月期第1四半期の連結業績

 国内タイヤメーカー4社の2024年12月期第1四半期の連結業績が出そろった=別表=。為替の円安進行や原材料価格の上昇までのタイムラグなど外部要因が利益面に寄与した。一方で、日本の国内市場では春需要の遅れと前年に値上げ前の駆け込み需要があったこと、新車メーカーの減産が、各社に売上に大きく影響したもようだ。ブリヂストン、横浜ゴム、TOYO TIREは2月発表の通期業績予想を変更しない。住友ゴム工業は第2四半期累計と通期で一部、予想を修正した。

 

 

石橋秀一グローバルCEO
石橋秀一グローバルCEO

 13日にオンタイムで開催されたメディア向けオンライン説明会で、石橋秀一グローバルCEOは当期の業績について次のように総括した=写真=。

 「24年12月期第1四半期は増収増益を確保した。増収増益の支えとなったのは乗用車用プレミアムタイヤや鉱山用タイヤ。乗用車用でグローバルで伸びたのは高インチタイヤだった。市販用・グローバルの販売本数で前年同期比5%増となった。高インチタイヤの拡大を含めたプレミアム化の加速や新しいタイヤ技術である『ENLITEN』拡大と連動させた施策を展開していく」

 日本の乗用車用高インチタイヤ(新車用)の需要は9%増だったが、販売本数は車種MIXの悪化などがあり3%減となった。また乗用車用タイヤ(市販用)全体は春需の遅れと、前年同期に値上げ前の駆け込み需要があったことから需要が大幅に減少。日本での販売は22%減となった。

 トラック・バス向けのタイヤは好調に推移した。TB用タイヤ(新車用)は北米や欧州で低迷が続いたが、日本は前年の反動で12%増(需要本数実績)となった。

 鉱山・建設車両用タイヤは超大型、大型、中小型いずれもほぼ前年同等となり、収益性の高さから業績をけん引した。

 石橋CEOは「TBのリトレッドや航空機用を含めたB to Bソリューションは次のモビリティテックカンパニーに向けての重要な分野だ」と位置付け、積極的に取り組む姿勢を示した。

 

 4社の第1四半期業績

 ブリヂストン

 ブリヂストンの24年第1四半期の売上収益は1兆641億円、調整後営業利益は1202億円、四半期純利益は866億円となった。前年同期比で売上収益は2.0%増、調整後営業利益は2.9%増、純利益は4.5%減だった。

 北米を中心にしたトラック・バス用タイヤの需要減や国内での春の履き替え需要の遅れなどで販売数量が減少。また南米ビジネスの悪化なども影響した。その一方で市販用の乗用車用プレミアタイヤの拡販や円安による押し上げで増収増益を確保した。純利益については、前年同期に固定資産売却があった反動で、微減となった。

 地域別の売上収益は日本2888億円、アジア・大洋州・インド・中国1298億円、米州5265億円、欧州・中近東・アフリカ2021億円。

 通期の業績予想は据え置いた。為替は2月計画比でさらなる円安を見込む一方、天然ゴムなど原料価格の上昇を見込むシナリオを描く。さらに南米などでのリスクが顕在化しており、見極めていくことが必要となる。

 

 住友ゴム工業

 住友ゴム工業は13日、24年12月期第1四半期の決算を発表した。

 売上収益2914億円、事業利益232億円、営業利益207億円、四半期利益248億円は過去最高を更新し、事業利益率は8.0%となった。

 同社はこの日、24年12月期の連結業績予想を上方修正した。これは当初予想よりも円安で進行したため。第2四半期累計では各利益で、通期では当期純利益で修正を行った。

 当四半期はタイヤ事業では、国内新車用が一部の自動車メーカー減産の影響などにより販売量は前年同期を大きく下回った。国内市販用は、昨年同期の値上げ前の駆け込み需要の反動などで前年同期より減少した。

 海外新車用は主要市場の中国では増販したが、東南アジアでは出荷量が減少し全体として販売減となった。海外市販用は欧州地域で冬タイヤやオールシーズンタイヤの増販に努め、北米では主力商品を中心に好調な販売を維持し前年同期を上回った。

 タイヤ販売本数は前年同期を下回ったものの、円安影響もありタイヤ事業の売上収益は前年同期を上回り、事業利益についても増益となった。

 

 横浜ゴム

 横浜ゴムは14日、24年12月期第1四半期決算を明らかにした。売上収益は前年同期比23.5%増の2524億円で過去最高を計上。事業利益は同91%増の249億円、事業利益率9.8%で、これも過去最高。営業利益は同102.6%増の268億円。当期利益は同104%増の198億円。

 タイヤ事業の売上収益は2267億円で前年同期26.2%増、事業利益は234億円で同85.8%増。

 新車用タイヤの売上収益は中国での日系自動車メーカーの販売不振や国内一部自動車メーカーの減産による影響はあったが値上げや円安が寄与し、前年同期を上回った。市販用タイヤは国内で前年4月の値上げによる駆け込み需要の反動があり減少。海外ではインド、中国などアジア地域で販売を伸ばしたことにより前年同期なみとなった。YOHTが欧州、新興国で販売が伸びたほか、Y-TWSの業績が加わり、OHT全体の売上収益は前年同期を大きく上回った。

 

 TOYO TIRE

 TOYO TIREは14日、24年12月期第1四半期の連結業績を明らかにした。

 売上高はタイヤの販売本数が減少したことなどにより、前年同期比1.2%減の1276億円(億円未満は四捨五入)。営業利益は同78.2%増で第1四半期としては過去最高の260億円を計上。重点商品の販売促進に加え、為替や海上輸送費など外部環境が追い風となった。四半期純利益は111.9%増の231億円で、第1四半期として過去最高。

 タイヤ事業の売上高は1.2%減の1166億円。営業利益は75.6%増の257億円。北米市場の市販用タイヤはインフレ長期化、アジア品を中心とした安価なタイヤの流入があり、販売量は前年度を下回ったが、重点商品は需要が堅調で売上高は前年度を上回った。国内の市販用タイヤは需要の減少に加え、寒波の影響による夏タイヤへの履き替えの遅れから販売量は前年度を大きく下回った。新車用タイヤは自動車メーカーの生産が回復基調となったものの同社製品装着車種の販売が低調であったことなどにより販売量、売上高ともに前年度を大きく下回った。


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