「初日から世界レベルの研究成果」と報告
住友ゴムは16日、仙台市の3Gev高輝度放射光施設「Nano Terasu(ナノテラス)」の利活用に関する発表を行った。
4月9日からナノテラスのコアリションビームラインのユーザー利用が開始され、住友ゴムは東北大学との共同実験を通じて従来に比べ、より微細な構造の観測に成功した。研究開発本部先端技術・イノベーション研究センター長の岸本浩通氏=写真右=は「従来の技術ではむずかしかった領域を観察できるのがX線タイコグラフィ。非常に難易度の高い技術と解析力が必要になる。権威である東北大学の髙橋幸生教授と共同研究を実施し、Lis電池正極活物質を従来の約3倍の解像度で詳細に観察することに成功した。利用開始初日から世界最高レベルの研究成果を出すことができた」と語る。
「ウエットグリップ性能をすべてのタイヤで向上」を目標におく。今後、タイヤのゴム表面の水に着目した研究について、ナノテラスを活用し一層推進する考えだ。
同社はこれまで、他の先端研究施設でもゴム内部構造を可視化することで、低燃費タイヤ開発を促進させてきたという実績がある。「23年のアクティブトレッドのコンセプトタイヤ発表を皮切りに、24年の次世代オールシーズンタイヤ、27年の次世代EVタイヤ商品化でお客様に新たな価値を提供していきたい」(上坂憲市研究開発本部長)=写真左=。
仙台市内に同日開設された住友ゴムイノベーションベース・仙台オフィスに常駐する同研究センターの金子房恵主査は、「ナノテラスの利活用を積極的に進め、アクティブトレッドやさまざまな商品の技術開発に生かしていきたい」と意気込みを語った。