住友ゴム/山梨県がグリーン水素活用で合意書交わす  タイヤ製造の脱炭素化は新ステージへ

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カテゴリー: ニュース
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右・山本社長、左・長崎幸太郎知事
右・山本社長、左・長崎幸太郎知事

 住友ゴム工業と山梨県は5月27日、水素を活用したタイヤ製造などにおける脱炭素化や水素エネルギー社会の構築に連携して取り組むことに合意し、都内で合意書に署名した。県が21年から民間企業とともに研究開発を進める「やまなしモデルP2Gシステム」を住友ゴムの白河工場(福島県)へ実証導入する。白河工場ではすでに一部ラインで水素を活用したタイヤ製造を行っており、さらなる拡大をめざす。

 

白河工場
白河工場

 住友ゴムの山本悟社長は、合意書へ署名すると「今回の連携によって、水素を活用したタイヤ製造は〈新たなステージ〉に入った」と強調した。連携の最初のステップは白河工場へのやまなしモデルP2Gシステムの導入となる。導入は年内を予定する。

 今回の合意のキーワードとなるP2G(パワー to ガス)とは、太陽光発電や風力発電などの電力から水素を製造して、その水素を熱エネルギーとして活用し、脱炭素化を実現する技術のことだ。水素の製造法はCO2の排出によりグレー水素・ブルー水素・グリーン水素と大きく三つに分類される(掲載の図説1は、資源エネルギー庁HPから)が、P2Gは燃焼時はもちろんのこと、水素の製造時にもCO2を排出しないグリーン水素となる。

図説1グリーン水素概念図
図説1グリーン水素概念図

 山梨県は21年9月に複数の民間企業とコンソーシアムを立ち上げて、P2Gの研究開発に取り組んできた。住友ゴムも水素の活用を推進。21年から白河工場で水素活用に向けた実証実験をスタートした。23年1月には製造時(スコープ1、2)のCO2排出量ゼロを達成した量産タイヤの生産を開始している。こういった経緯からも、今回の連携は〈新たなステージ〉というわけだ。

図説2「脱炭素グランドマスター工場」の実証
図説2「脱炭素グランドマスター工場」の実証

 今回の連携では、このシステムを活用して工場の安定操業を保ちながら脱炭素化を実現する「脱炭素グランドマスター工場」の実証も行う=図説2=。

 P2Gシステムで製造する水素や配達水素、系統電力、工場内太陽光発電、既存燃料の五つのエネルギーを調和させて、タイヤ製造工場の脱炭素化を実現する。

 白河工場では25年から脱炭素化グランドマスター工場の実証を開始する。P2Gシステムや配達された水素は、水素ボイラーを通して製造工程に活用する。工場内の太陽光発電や系統電力は既存電気設備に活かすとともに、水素製造に活用する。系統電力からは再エネ由来の電力を供給する。既存燃料は天然ガスを使用するが、これも徐々にCO2を排出しないグリーン水素へとシフトする計画だ。

 同社では実証を進め、こういった取り組みを「30年以降には国内外の工場へ拡大させたい」(山本社長)とする。また、長崎幸太郎知事は今回の連携を通じて「P2Gシステムの安定稼働を実証して国内外の工場への導入の先駆けとなるよう、一緒に進めていきたい」と話した。


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