「人とくるまのテクノロジー展」(主催・自動車技術会)が5月22日~24日、パシフィコ横浜で開催された。590社が出展。3日間で展示会には7万5972人が来場した。会場内では4月に発表された第74回自動車技術会賞の各受賞者のパネルコーナーなどが設けられた=写真上=。並行してオンライン展示会も6月5日まで開催された。タイヤに関するソリューションを紹介する企業も多く出展。最新の素材や技術、安全・安心に関するソリューションが注目を集めた。名古屋でも展示会を7月17日から3日間、開催する(オンライン展示会は7月10日から31日まで)。
日本ゼオンは「未来のモビリティ社会に貢献する材料」をテーマに、異種材料を接着する易解体マルチマテリアル接着剤や熱伝導材料、バイオマス由来ゴムなどについて紹介した=写真1=。
バイオマス由来ゴムは、ブタジエンおよびイソプレンを原料とするもの。ISCC PLUS認証付きの製品の販売を24年から開始する。またヒドリンゴムやアクリルゴムでも、バイオマス原料を使用した製品を供給しているという。
広報担当者は「今年は小間数を増やしたことや実演デモなどを行ったことが奏功し、多くのお客さまに立ち寄っていただくことができた」と手応えを明かす。次世代モビリティの課題解決につながる素材に対しても「ニーズの大きさを改めて実感している」とした。
NIRA Dynamics(スウェーデン)は、車輪脱落事故防止ソリューション「Loose Wheel Indicator」などを紹介。このシステムは、ホイールナットの増し締めが行われないことで生じる走行中の緩みを早期に検出し警告するもの。常時モニタリングや車両側からメンテナンスの必要性を通知する自己診断機能なども備える。
リサ・オーボムCEO=写真2=は「日本でもヘビーデューティートラックや乗用車などの脱輪事故は大きな問題となっており、対策が不可欠だ」と強調する。5月には日本法人を立ち上げた。ほかにも「TIRE PRESSURE INDICATOR UX」や「Road Surface Alerts」などのパネルを展示。映像も使いながら、来場者に説明した。
コンチネンタル・オートモーティブはオートマチックソフトウェアなどを展示。クラウドにつながったソフトウェア機能を搭載した車が今後出てくると予想されるなかで、ソリューションを示した。
またサステナビリティの取り組みについても紹介。その一例としてリサイクル素材を65%使用した「UltraContact NXT」を展示した=写真3=。このタイヤはすでに欧州で展開している。
ブースでは展示のほかにセミナーを行っており、来場者の関心をひいていた。
旭化成のブースでは「Sustainable Style」をテーマに、「見る」「聴く」「触れる」などの五感に訴える展示内容となっていた。
同社が展開する「タフテック」などを展示=写真4=。タフテックは耐候性・耐熱老化性に優れた水添スチレン系熱可塑性エラストマーだ。異なる樹脂が混入した再生プラスチックを活用可能にする。タイヤなど自動車素材のマテリアルリサイクルの拡大に貢献するものとして期待される。
担当者は「快適性とサステナビリティを両立するものであり、新品と同等のリサイクル素材を活用したサステナブル製品をつくることが可能だ」と紹介した。
椿本チエインはBEV向けのクラッチを中心に展示した=写真5=。EV需要の高まりに合わせて、市場への浸透を図る。
BEVなどが走るために主要部品をひとつにまとめたeAxleでの2WDから4WDの切り替えの応答性短縮を追求した「Disconnect Clutch」を出展。軽量化や組み立て工数を低減したパーキングロックシステム「P range Lock Clutch」なども紹介した。
住友理工、住友電装、住友電工は3社で共同出展。「グリーンな地球と安心・快適な暮らしを支える」をテーマにカーボンニュートラルやEV、自動運送などについて展示した=写真6=。
カーボンニュートラルでは、23年8月に発表したゴム・樹脂・ウレタン・金属などの廃棄物のサーキュラーエコノミーの取り組みなどについて紹介した。