ゼオンが中計第2フェーズ進捗発表  徳山工場のSBR、BR生産縮小へ  成長するCOPへ人的資源配分

シェア:
カテゴリー: ニュース
ゼオン
ゼオン

 日本ゼオンは11日、主力製品である高機能樹脂シクロオレフィンポリマー(以下、COP)の新プラント建設を発表した。山口県周防市に設立予定の新工場は2025年下期に着工し、28年度上期に竣工予定。投資総額は約700億円。生産能力約1万2000トン/年を計画。

 この日、中期経営計画(STAGE30)の第2フェーズ(2023-26年度)進捗説明会をオンラインで開催。同社は徳山工場のエラストマー製造設備の60%を生産停止し、その人材リソースを活用した徳山COPプラント新設というポートフォリオの組み換えを発表した。生産停止のスケジュールは、26年度にNBRラテックスとエマルジョンSBR第一系列を停止し、28年度以降にBRプラントを止めるべく調整していく。

 豊嶋哲也代表取締役社長は「COPは今後さらに需要が拡大する、当社にとっての戦略商品。レジリエンスを高めるため、水島工場以外でのプラント建設を決定した」。今後、COP以外の新しい高収益プラントの新設も現在検討中という。

 エラストマープラント停止による利益減、COPプラント新設による減価償却費増と、一時的に営業利益は減少するが、28年度以降のV字回復を見込む。

 豊嶋社長は「日本ゼオンはゴムメーカーであることを諦めず、ベストオーナーとしてさらなる高収益化をめざす」と述べる。事業のポートフォリオをドラスティックに組み換えることで、企業の体質を高収益化していく考えだ。

 「ポートフォリオの組み換え」以外でも、「既存事業の磨き上げ」と「新規事業の探索」という三つの施策を強力に進めていく。各施策により収益性と成長性を高めていく計画。

 このうち「新規事業の探索」については、川崎地区に共創イノベーション施設を建設しており、完工時期は2026年度。設備完成後は機能性ポリマーの共創、ドライ電極パイロット設備の運用、ライフサイエンス企業集積地の殿町エリアとの共創を進めるとしている。

 なお、電池材料の売上目標などを修正したことから、全体の財務目標値も修正している。売上高・26年度目標値5100億円→26年度修正目標値4500億円、営業利益・580億円→380億円、全社ROIC・8%→6%、ROE・10%→9%。セグメント別業績目標・エラストマー売上高2440億円→2300億円、エラストマー営業利益230億円→165億円。

 

 S−SBRのZSエラストマー、住友化学との合弁解消

 日本ゼオンが吸収合併へ

 

 日本ゼオンは12日、合弁事業解消によりZSエラストマー株式会社(以下、ZSE)を9月30日付で100%子会社化し、24年10月1日付で吸収合併すると発表した。

 合弁解消につい日本ゼオンは、「S-SBR事業で住友化学との生産機能の統合をめざしていたが、事業環境の変化にともない合弁解消に同意し、独立して事業運営を行うこととした」としている。

 ZSEは2016年12月17日に設立、17年4月1日から営業を開始。出資比率は日本ゼオンが60%、住友化学40%。住友化学の保有するZSEの全株式を日本ゼオンが購入し、合弁関係を解消し完全子会社としたうえで、日本ゼオンを存続会社、ZSEを消滅会社とする吸収合併方式により、ZSEは効力発生日に解散となる。

 日本ゼオンは、吸収合併の目的について「経営資源を集中し、お客様向け対応窓口の一本化による効率化を実現すること」と説明している。なお、本合弁事業の解消と完全子会社化・合併による日本ゼオン連結業績への影響は軽微。


[PR]

[PR]

【関連記事】