小野谷機工は11日、東京証券取引所TOKYO PRO Market(証券コード209A)へ株式を上場した。同日、記念のセレモニーが行われた=写真2点=。
同社は1961年、小野谷屋として設立。71年に改組後、タイヤサービス機器と廃タイヤ処理・リトレッドタイヤ関連機器の開発から製造・販売まで、日本国内で一貫して行っている。
上場に至った背景には、同社の企業理念〈品質重視のモノ創りに徹し創造と行動でオンリーワンに挑戦/持続的な成長で社会への貢献と社員の幸せを目指す〉がある。100年企業をめざし取り組むビジョンを持ち、持続的な成長のために上場が有効と判断した。
代表取締役社長の宇田公郎氏は次のように語る。
「当社は創業者の強いリーダーシップのもとで、創業者の経営スタイルで成長してきた。創立50周年で創業者は逝去。会社の規模が拡大し、どうすれば全社員が同じ方向に向いていけるのかを考え、2021年に企業理念を制定した」
株式上場を視野に入れ、役員会で検討を始めたのがこの時期だ。創業者経営から企業理念に基づく新しい経営スタイルへの移行が必要という判断があった。上場することで会社の信用力が向上し、経営の透明性も高まる。ステークホルダーとの信頼関係を一層深めて事業活動を円滑に進むことができると期待があった。
上場の効果について宇田社長は、一つめは信用力向上による顧客の拡大、二つめはブランド力・企業価値向上への寄与、三つめにガバナンスの強化、四つめに人材の確保とエンゲージメントの強化――をあげる。さらに、将来の事業拡大に向け資金調達を安定化させることを期待するとしている。
「上場までのスピードを重視したのが、TOKYO PRO Marketを選択した理由。上場を決めたのが2021年秋の役員会で、スケジュールとしてはこれまで計画どおりに進めることができた。当時はまだ力不足という認識もあった。ステップを踏み、いずれはスタンダード市場に挑戦できるよう、企業力を高めたい」(宇田社長)。