横浜ゴムは、米国グッドイヤー社の鉱山・建設用車両向けタイヤ(OTR)事業の買収を発表した。買収価格は約1294億円(9億500万USドル、換算レート1ドル143円)。
山石昌孝代表取締役会長兼CEOは22日、オンライン会見を実施。新中期経営計画(YX2026)で掲げるOHT(オフハイウェイタイヤ)事業の成長戦略のひとつ、「Programmatic(プログラマティック) M&A」の一環と位置付ける。
グッドイヤーのOTR事業は、23年度売上高約954億円(6億7800万USドル)。南北アメリカ、欧州ほか全世界でバランスの取れた販売網を構築し安定的な収益を上げている。商品構成では約半分が49インチ以上の大型・超大型サイズ。
今回の事業買収で、グッドイヤーの日本での大型ラジアル&バイアスOTR専用工場である日本ジャイアント(兵庫県たつの工場)を横浜ゴムが取得。カナダのNorth Bayリトレッド工場も取得する。
米国・ドイツ・ペルー・ルクセンブルク・インドネシア・ブラジルにあるその他品種との兼用工場でOTRの生産設備を取得。横浜ゴムの工場へ順次移管し、その完了までは生産委託を行い商品の供給を受ける。グッドイヤーブランド使用は一定期間、無償ライセンスを受け、その期間に横浜ゴムブランドに置換予定。
買収の意義・目的について山石会長は、「OTR分野のミックス改善」をあげる。市場は鉱山用車両と建設用タイヤが6対4。買収前のグッドイヤーは7対3、横浜ゴムは4対6で、合算すると6対4となりほぼ市場並みの構成比となる。
買収により横浜ゴムはOTRすべてのカテゴリーで、プレミアムからスタンダードまでのブランド商品を保有することになる。異なるタイヤサイズと価格帯の商品ポートフォリオの強化を図ることができるとしている。
さらに、山石会長は「今回取得するOTR資産には米国のテストセンター内にある専用試験機器が含まれる。その屋内試験場には超大型OTRの評価可能な7メーターホイール試験機があり、今後の開発を加速することが可能だ」と述べ、これからの事業展開に期待を寄せた。
なお、世界のタイヤメーカー売上高ランキングで23年度第8位だった横浜ゴムは、今回のグッドイヤーOTR事業を加えることで、第5位へとランクアップすると見込まれる。