「グッドドライバー・レッスン」静岡・裾野で開催  モータースポーツと交通安全を組み合わせる

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カテゴリー: ニュース

体験型レッスン通じ“グッドドライブ”を

 8月25日、静岡県の裾野市民文化センターで「グッドドライバー・レッスン(=GDL) in ライフラリー富士山すその」が開催された。ラリーをベースとしたモータースポーツと、セーフティドライブレッスンを組み合わせた体験型の交通安全活動だ。NPO法人グッドドライバー・レッスン(竹道雄康理事長)が主催し、全国に活動の輪を拡げようと取り組みを強めている。パートナーとしてブリヂストンなどが初期段階から参画し、24年からは横浜ゴムも加わった。自動車関連産業とモータースポーツの関係者がスクラムを組む、新しいスタイルの社会貢献活動とはどのようなものだろうか。現場からレポートする。

 

 ブリヂストンと横浜ゴムがパートナー参加

 

 GDLは、主催者と開催地の自治体などが地元のドライバーに参加を呼びかけ、会場のキャパシティに相応する定員でレッスンを実施する。主催者の挨拶で開会し、数名のグループ単位で各種のレッスンを体験。すべてのメニューを受講後、「グッドドライバー」の証(あかし)となる修了証を受ける。

 「クルマは単なる道具ではないし、運転はいくつになっても楽しいものであってほしい。レッスンでは長くモータースポーツの実戦で腕を磨いてきたドライバーたちが経験に基づきレクチャーする。不幸な事故を未然に防いで、愛車と素敵な時間を長く過ごしていただきたい。そしてグッドドライバーのまま卒業するということに、このGDLがお役立ちできたらと考える」。主催する竹道理事長は開催意義について、このように語った。

 

写真(1)模擬ドライブ体験
写真(1)模擬ドライブ体験

 レッスンメニューは会場キャパや参加人数、天候により多少アレンジされる。「ライフラリー富士山すその」は次のプログラムをメインとした。

 【ストレッチレッスン】運転には身体動作をともなうので、その前にストレッチを行うことは安全運転に効果的。古屋宏インストラクターの指導のもと、風船をアクセルとブレーキに見立てた「踏み間違えないでね体操」を実施。プロジェクター映像を活用し模擬ドライブを体験した。=写真(1)

 【ドライビングレッスン/第1回チキチキグッドドライバー選手権】メインの体験型レッスン。モータースポーツ競技に長年携わってきた運営者がパイロンや交通標識などを用いミニコースを設定。ブレーキポイントや大きな段差の乗り越し、路肩寄せなどの難所のあるコースを、参加者がマイカーや社用車で走る。

写真(2)体験型レッスン
写真(2)体験型レッスン

 選手権は狙った位置でクルマを停めることができるか、注意ポイントを目視確認しきちんと運転操作できているかをオフィシャルが得点で評価。スコア換算しランキング化するが、速く走ることではなく運転マナーの良さを競う。安全確認を徹底しながらクルマを操る楽しさを身に付けることが目的だ。

 今回はベテランラリードライバーの石田雅之選手とコ・ドライバー(ナビゲーター)の遠山裕美子選手がインストラクターとして参加。参加者ひとり一人にアドバイスを送り安全運転のポイントを伝えた。=写真(2)

写真(3)装着タイヤの残溝を実測
写真(3)装着タイヤの残溝を実測

 コース走行後の待機エリアでは、ブリヂストンの関係者が装着タイヤの残溝を実測し、タイヤの日常管理の重要性を訴求した。=写真(3)

 【タイヤレッスン】この日は、ブリヂストンタイヤセーフティでドライビングインストラクターを務める安藤純氏が講義を担当。タイヤの空気圧と残溝管理・タイヤローテーションが交通安全と燃費・省資源に直結するということを、実物のタイヤとパネルを使いレクチャーした。=写真(4)

 同社のスタッフは「交通安全はタイヤメーカーの最重要テーマ。より安心で心地よいモビリティライフを支え、すべてのひとが自分らしい毎日を歩める社会の実現につながる取り組みの一環。ブリヂストンとして、理解しやすい方法でタイヤチェックの重要性をお伝えしていく」と語った。

写真(4)安藤純氏が講義を担当
写真(4)安藤純氏が講義を担当

 【自転車レッスン】GDLの参加者とは別で、地元の児童が対象。ブリヂストンサイクルが運営に協力した。テーマは「交通ルールを知って楽しく自転車に乗ろう」。安定して自転車に乗るための予備体操と、交通法規をクイズ形式で問う「うんこ交通安全ドリル」を実施。ヘルメットの装着体験と、模擬の市街地コースの実車走行を行った。

 これら以外にもドライビングシミュレータを使ったレッスン、自動アシストブレーキを体験するサポカーレッスン、シニアカーC+Walk(立ち乗りパーソナルモビリティ)試乗など、多彩なプログラムが用意された。またメイン会場のホール壁面ではWEC(FIA世界耐久選手権)の写真展が行われた。

 

写真(5)GDL in ライフラリー富士山すその
写真(5)GDL in ライフラリー富士山すその

 「GDL in ライフラリー富士山すその」には、24歳から83歳と幅広い年齢層から男女の現役ドライバーが参加。自転車レッスン受講者を含めると58名が参加した。日常の運転では体験できないメニューを味わったことで参加者はすがすがしい表情をみせた。主催者側がめざす地域の交通安全意識を高めることに寄与した。=写真(5)

 一方で、交通安全に対し関心の低いひとたちが一定数いるのも事実だ。そのような層にどのようにアプローチし訴えていくかがこれからの課題。プログラムのマイナーチェンジなどイベントにフレッシュ感をもたせることや適切な情報発信が必要だろう。地域社会全体で継続的に取り組み、活動が進化していくことが期待される。


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