「ウィンターマックス03」「シンクロウェザー」
ニーズと地域特性踏まえ注力商材を変える
住友ゴム工業は24年1月1日付で国内市販用販売体制を再編した。11社体制から株式会社ダンロップタイヤに統合し、国内タイヤ販売は一社化。新体制となり初の冬商戦は主力のスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX03(ウィンターマックス ゼロスリー)」と、新商品のオールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」で戦う。その取り組みをダンロップタイヤのマーケティング本部消費財マーケティング3グループ・菅祐太朗氏に聞いた。
昨年の振り返り
昨年は暖冬の影響で降雪が少なく、冬タイヤの需要は例年と比べて減少した。一方、SUV市場の成長に合わせてSUV向けのスタッドレスタイヤの拡販に取り組み増販することができた。
今年の市場展望と消費者動向
スタッドレスタイヤは暖冬だった昨年を上回り、例年並みの需要に戻るだろう。SUV需要も引き続き堅調に推移すると見込んでいる。
スタッドレスやオールシーズンなどの機能性商品は性能重視で選ばれる傾向が強い。安心・安全にかかわってくるためか、価格に対する意識は、夏タイヤよりも比較的低いと考える。
注力商品
今年は顧客のニーズとエリア特性に応じて注力商材を変えながら、冬商戦を戦っていきたい。
降雪エリアではスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX03」、準降雪・非降雪エリアは新商品「SYNCHRO WEATHER」が中心となる。
エリアにより顧客ニーズも変わってくる。降雪エリアでは、過酷な凍結路面があるため、氷上性能が高い「WINTER MAXX03」をおすすめしたい。話題性は「SYNCHRO WEATHER」が高いが、あくまでも顧客のニーズを聞き地域特性と安全を考慮し、提案していく。
「SYNCHRO WEATHER」は大谷翔平選手を広告に起用した効果もあり、7月に発表した直後から反響が想像以上にあった。直営店で先行受注を始めた。初めての試みだ。
首都圏・都市部に住む顧客からの問い合わせが多い。やはり準降雪エリアにニーズがあるようだ。路面状態に合わせてタイヤ自ら適した性能に変化する次世代オールシーズンタイヤということで期待を強く感じる。
販売店の皆様にも商品の特徴、性能をご理解いただき、正しい商品知識を持ってお客様に接客いただくため、「SYNCHRO WEATHER」で初めて認定店制度を設けた。発売発表当初はダンロップ直営店のみが認定店だったが、徐々に社外の販売店様も認定店となってきており、しっかりとした販売網が構築できつつある。
顧客ニーズへの対応
準非降雪エリアでは、スタッドレスかオールシーズンか迷われているケースがあると想定している。
「SYNCHRO WEATHER」は当社スタンダードスタッドレスタイヤと同等レベルの冬性能があるため、ぜひおすすめしたい。ただスタッドレスの購入を希望される方への「SYNCHRO WEATHER」の提案はお客様のニーズによってはミスマッチだと考えている。そのあたりはお客様の使用環境などに応じて、適切な商品提案を行う。
販促活動
昨年同様に「WINTER MAXX03」のキャンペーンを行う。応募者に当タイヤを履いて冬道を走行し体感いただくモニターキャンペーンを実施予定で応募方法は後日案内となっている。
またSUV需要を取り込んでいきたいので、SUVに「WINTER MAXX03」を訴求できるような、タイヤのセンターポップやポスター、リーフレットを準備している。「SYNCHRO WEATHER」には大谷翔平選手を起用した同様の販促品を用意している=写真=。
新しい販売体制と今後の抱負
従来は、生産・開発・広域営業・マーケティングを住友ゴムで担っていたが、株式会社ダンロップタイヤとして、一社化し、広域営業とマーケティングを新会社に移管することでスムーズな組織運営になった。社内からは距離が近くなり、コミュニケーションをとりやすくなったという声がある。今まで以上にスピード感を持って、ビジネスを推進していきたい。
これまで全国にあった販売会社11社は地域に根差したビジネスを展開してきた。そういった良さを残しつつ、住友ゴムが担ってきた広域営業やマーケティングを移管することで、タイヤ事業を一気通貫とする組織に横串を通した。引き続き販売店の皆様と一緒に業界を盛り上げていきたい。