国土交通省は10月1日、「令和5(2023)年度大型車の車輪脱落事故」の調査結果を発表した。23年4月〜24年3月で発生した事故件数は142件。人身事故は2件で、うち1件は死亡をともなった。前年度の事故件数140件に対して2件増加。昨年に引き続き、統計史上最多を更新した。これを受け、国交省は「令和6年度緊急対策」と10月から「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施。大型車の車輪脱落事故防止に向け、強い決意で取り組む。
(前編からのつづき)
調査の結果を踏まえ、国交省は「令和6年度緊急対策」と「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施する。
「緊急対策」は、同省と「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会」を構成する関係団体が協力。適切なタイヤ脱着・保守管理の作業手順について、ポスターやチラシ、事故防止啓発動画を用いて大型車の使用者に対し広報活動を実施する。
「キャンペーン」は、大型車の車輪脱落事故防止対策の徹底を全国的に図る。事故の発生件数が冬用タイヤへの交換後の11月から2月の時期に多発していることに対応し、令和7年2月末までをその実施期間とした。主な取り組みは次のとおり。
(1)大型車のタイヤ脱着、保守管理を行う関係者に、適切な作業、保守管理の重要性について周知・啓発を図る。(2)冬用タイヤ交換から1~2カ月後に事故が多発していることから、早期に余裕を持って正しい作業を行えるよう、冬用タイヤ交換作業の平準化を推進する。(3)近年、開発された車輪脱落事故防止対策品(後付けの「ナット隙検知」装置や「ナット回転角検知」装置)は安全確保だけではなく、ドライバーの負担軽減も期待される。これを普及促進するため、数百台規模で実証調査を実施する。
国交省はこれらの施策を通して、大型車の車輪脱落事故撲滅をめざす。タイヤ業界もその重要性を鑑み、全力で事故の未然防止に取り組む方針。JATMAではチラシやホームページを活用し、啓発活動を積極的に展開する。