エイワ(兵庫県西宮市、前中勝彦社長)は10月にタイヤ出張サービスカーの最新モデル「MTS(モバイルタイヤサービス)Ⅱ」を発売した。
16年度グッドデザイン賞を受賞した「MTS」の後継モデルで、MTSシリーズ初のハイブリッド車(HV)だが、従来のエンジン式車両にも対応している。
「MTSⅡ」は〈走行時の安全〉と〈作業時の安全〉という、シリーズ共通の特徴である「ダブルの安全性」を継承したうえで環境への配慮を設計思想に組み入れて開発した。
車両には定評のある電動ウイング開閉式ボディを採用。作業時の横方向への張り出しを抑えたうえに頭上の空間など作業回りを広く確保できる。ボディが3方向に開放されるので作業性だけではなく作業中の換気も十分だ。
タイヤサービスカーは〈作業車両〉としての機能はもちろん〈走る広告塔〉としての機能も持ち合わせており、車両本体にデザインをラッピングする意味は大きい。「MTSⅡ」は車両の外側だけでなく、ウイングの内側にも広告パネルの掲出を可能とした。作業時はウイングが上方へと開くため外装のラッピングが見えにくくなるが、内側にもパネル掲出を可能としたことでアピールの機会を高めた。これもウイングボディだから可能な仕様である。
前中勝彦社長は、「出張サービスは販売店のかただけではなくドライバーにとってもメリットは大きく、今後も需要の増加が期待できる。新型モデルの開発にはタイヤ出張サービス自体の認知度向上も強く意識した。当社独自の設計思想を生かし、多様化するサービスへの対応を図っていきたい」と語る。
環境を意識した搭載機器にも注目だ。その一つ、極超低騒音式エンジンの発電機は排ガスも振動も少ない。オイルセンサーや負荷軽減機能付きの専用コンプレッサーも開発した。専用コンプレッサーは従来のモデルと比べて発電機の能力を小さくすることも可能な設計としたため車両設計の自由度を高めることができた。車両総重量を抑えることで準中型免許へ対応するだけでなく燃費向上などにも寄与する。
エアー充てん機はLED自発光タイプを採用し、夜間や暗い場所での作業での視認性を高めた。インパクトレンチも電動式を採用。専用のインバーターを搭載することで作業ツールだけではなくモバイルツールなどの充電も可能だ。
定評のある自走式TBタイヤチェンジャーや収納位置可動式PCタイヤチェンジャーなどの機能も継承されており、ジャッキ収納庫の自動昇降システムも用意されている。機械室の集中操作スイッチ類はより操作しやすく配置を見直した。作業スペースの高輝度、省電力、長寿命のLED照明もより省スペース化と配置の拡張性が図られた。
車両に搭載される安全機能だけではなく、TPMSの装着も継承しており、サービスカー自体のタイヤ管理、安全管理も考慮している。「ダブルの安全性」に環境負荷への配慮をも設計思想に組み込んだ新しいタイヤ出張サービスカー「MTSⅡ」はこれからのサービスカーとしての機能性と存在感を示している。