タイヤメーカー4社はこのほど、24年12月期第3四半期業績を明らかにした。4社の24年第3四半期累計の連結業績は一覧表の通り。同業績の発表に際し、住友ゴムは24年12月期通期の業績見込みを下方修正、TOYO TIREは上方修正を行った。
ブリヂストン
欧州の最悪期は脱す
ブリヂストンが11日に公表した24年12月期第3四半期累計業績は、為替の追い風もあり増収となった。だが、北米の乗用車用タイヤビジネスと南米ビジネスの悪化が継続し、調整後営業利益は減益となった。
一方でプレミアムタイヤ販売・ソリューション事業、鉱山、飛行機、二輪は堅調に推移し、全社業績をけん引している。うち生産財系BtoBソリューションは前年比127%の大幅増益となった。
コア事業のプレミアムタイヤ事業は、対前年は減益であるが営業利益率14%を確保し、25年に向けて改善スピードアップをはかる。高インチタイヤに加え、プレミアムタイヤブランドへのフォーカスを徹底し体質強化をめざす考えだ。
厳しい状況の欧州事業は最悪期を脱したが、25年はさらなる利益率改善をはかる。TB生産拠点のキャパシティを落とすダウンサイジングで稼働率を上げコストを削減するなど、事業再編・再構築(第2ステージ)を一段強化・加速するとしている。
住友ゴム工業
構造改革の損失計上
8日発表の住友ゴム工業第3四半期の連結業績は売上収益と事業利益が過去最高を更新した。事業利益率は為替変動の影響もあり前年の4.9%から7%まで改善。一方、営業利益と四半期利益は24年度内の構造改革にともなう損失計上により前年同期と比べ減益となった。
タイヤ事業では売上収益と事業利益が過去最高。国内市販で高付加価値商品が増販。北米市販では主力商品「WILDPEAK」が増販を維持した。
ガス管事業の撤退、欧州医療用子会社の売却、スポーツ施設運営子会社の売却、北米の構造改革、ほか2事業を含む計6事業の構造改革による改善効果は事業利益で最大535億円となる見通し。
24年度通期の営業利益、当期利益は構造改革の影響を織り込み大幅な減益を見込んでいる。
横浜ゴム
欧州・アジアで拡販
横浜ゴムは14日、24年12月期第3四半期決算を開示し、売上高と事業利益が過去最高を記録した。タイヤ事業は欧州・アジアで拡販したことや、OHT事業の市販用タイヤが好調だったことが貢献した。
通期業績は予想を据え置いた。12月末にはYOHTイスラエル工場を閉鎖する。競争環境の変化や地政学的リスクを考慮した。閉鎖にかかわる一時費用は3千万~4千万ドルほどを予定し、そのほかの影響は精査する。
TOYO TIRE
重点商品の販売好調
TOYO TIREは第3四半期決算を開示し、累計の売上高・営業利益・経常利益が過去最高となった。通期予想も好調な業績などを背景に営業利益と当期純利益を上方修正した。
タイヤ事業では北米で重点商品の販売が堅調に推移。欧州や国内市場は販売量減も、商品ミックスの改善や高付加価値商品へのシフトでカバーし、セグメント別の売上高は微増、営業利益は48.9%増となった。
進行中の第4四半期は、タイヤ販売本数が国内市販や北米、東南アジアで前年同期を超える見込みだ。