11月中旬、師走の寒さが広い範囲で列島を覆った。本格的な冬の到来を前に、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は24年度の冬タイヤ装着啓発活動をスタートした。ノーマルタイヤで凍結道路を走行すればスリップや立ち往生を招き、交通渋滞、事故を引き起こす原因になる。安全のためには冬用タイヤの装着が必須だ。2012年より啓発活動に取り組んでいるJATMAでは近年、動画配信を活用するなど新たな面からドライバーにアプローチしている。
JATMAは冬タイヤ装着啓発活動を12年から継続的に実施している。
今回は啓発チラシを前シーズンより7千部増やし、約36万部作成した。デザインをリニューアルし、昨年よりさらに冬タイヤ装着の重要性をストレートに訴える。
冬タイヤへの履き替え率の高い降雪地域には「早めの冬用タイヤ装着が大切」=写真右=、非降雪地域向けバージョンではよりストレートに「ノーマルタイヤは危険」=写真左=と、キャッチコピーを2バージョン用意し、冬道のノーマルタイヤ走行の危険性を伝える。掲載写真も差し替え、スリップの危険な状況が伝わりやすいものになった。
チラシ下部には国土交通省やNEXCO、日本自動車連盟といった主要官公庁などと連名とし、業界が一丸となる姿勢を示す。冬タイヤ装着の啓発については、国土交通省は公式SNS(X)アカウントでチラシを投稿。日本自動車整備振興会連合会(日整連)は会報誌に同封するなど、積極的な取り組みをみせる。多くの業界団体がさまざまに冬道の安全に向け協力体制をとる。
そこに今回からは全国レンタカー協会が加わった。会員事業者へのチラシを展開する。インバウンドによるレンタカー需要が増えていることを背景に、次シーズンではさらなる協力体制も検討中だ。
インターネットの影響の大きさを重視し、前シーズンから引き続き「YouTube」に啓発動画をアップした。また新たに動画サイト「TVer」でも広告展開する。11月18日から12月17日までの展開で、非降雪地域には冬タイヤ交換に適している期間だ。
広告以外でも「JATMA タイヤ安全啓発」のアカウントで動画を公開しており、前シーズンでは約48万回(ショート動画は約4万回)再生された。「TVer」は視聴者が広告をスキップする機能がないため、「より多くのユーザーが見るのではないか。一人でも多くの目に止まれば」と期待がかかる。
JATMAの担当者は「啓発活動はゴールがない。今後も続けていかなければならない」とその重要性を強調するとともに、今後もタイヤ業界が一丸となり全力で取り組むとしている。