タイヤ公正取引協議会(タイヤ公取協)の主な活動に「相談対応」がある。企業が作成するタイヤに関する広告や販促物を掲示・配布する前に問題がないかどうかの相談をメーカーや小売店から受け、それに答える活動だ。24年度上期には1万4164件の相談があり、前年同期比で11.9%増加。同会は最終的に年間2万8000件に達すると予想している。
タイヤ公取協は「相談対応」活動に力を入れている。企業が作成するチラシやPOPなどの広告を景品表示法(景表法)上、適正であるかを確認し必要がある場合は改善アドバイスを行う。相談によって違反を事前に防ぎ表示、取引の適正化を図る。企業は同会に事前相談をしておくことで安心して広告を掲示できる。企業・店舗が信用を得て、消費者が安心してタイヤを購入できるようにすることが目的だ。
非会員からの相談件数も含め15年度から毎年2万件以上の相談があり、24年度は最終的に年間3万件近くまで達する勢いだ。同会は相談需要増加の背景には企業のコンプライアンス体制強化があるとしている。
24年度上期における媒体ごとの相談件数をみると「チラシ等」5229件(前年同期比6.6%減)、「店頭ツール」3620件(同20.5%増)、「Web(動画、デジタル素材など)」2299件(同39.4%増)、「その他」3016件(同25.4%増)。「Web」広告に関する相談件数が大幅増加をみせた。相談者内訳はメーカー3843件、卸売り3896件、小売り6425件となっている。
相談方法はほとんどがメールによる。FAXによる相談は年々減少している。相談者の就業環境の変化に応じ、タイヤ公取協では相談ツールの充実を図っている。会員サービスの一環として「スマホde事前相談」を22年度からスタート。スマートフォンで撮影した広告物を同会に送信すればそのまま事前相談ができるようになった。
消費者への適切な情報提供を行うため商品性能データの「審査・調査」活動にも尽力している。データに問題があると景表法違反になる懸念が発生する。それを避けるため広告表示をする前に試験条件・方法、計算などを審査する。
低車外音タイヤ制度の導入を受け、23年度の審査件数は全248件中、低車外音タイヤデータが149件と過半数に達した。指摘率はそれぞれの審査項目で減少傾向にある。
24年1月「低燃費タイヤに関する試験方法及び表示方法に関する運用基準」が変更され、低燃費タイヤのラベリング表示対象が広がった。それまで対象外だったオールシーズンタイヤもラベリングできるようになり、それにともないオールシーズンタイヤの審査件数も徐々に増加傾向を示す。
ほかに店頭の適正表示調査がある。25年度は違反が目立った店舗を中心に現地研修を行う予定。Webパトロールではインターネット上のタイヤ取引適正表示を監視する。
14年の景表法改正で各事業者は「表示等管理担当者」をおくよう義務付けられた。「研修啓発」活動では同担当者の育成を図る。タイヤ公取協には各社より現在330名が登録されたという。同担当者と相互に情報交換できるプラットフォ―ムの開発を進めている。このプラットフォームを使えば各担当者の習熟度が見える化され、よりきめ細かな支援が可能だ。運用開始は26年度を予定。
タイヤ公取協はさらに、従業員向け研修を開催。景表法、独占禁止法の知識と事例の研修を実施している。機関紙「タイヤ公取協だより」を全会員に年4回発行。会員向けメールマガジン「KOHO TFTC」では景表法、消費者関連法に関する情報や同会の活動予定を毎月配信。HPでは会員店、各データ、規約解説を公開している。
同会の活動はタイヤに関わる会社や販売店が会員になることで支えられている。現在、小売店約3400店、卸売り約90店、メーカー・団体・チェーン本部約20店が加入。企業におけるコンプライアンスの重要性が高まる現在、同会の活動はますます必要度が増している。