TB用タイヤの状態管理アプリ「Tire SAPRI」を開発  TOYO TIREが効率的で的確なメンテサービスに

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報道陣向けにレクチャー
報道陣向けにレクチャー

 TOYO TIREは3日、トラック・バス用タイヤの状態管理アプリ「Tire SAPRI(タイヤ サプリ)」を開発し、物流事業者4社を対象にテストマーケティングを開始した。同日、都内で報道陣向けにレクチャーを開いた=写真・上=。配達需要の増加など物流業界へのニーズが増す一方、「24年問題」による残業規制で人手不足が顕在化する。今回のアプリ開発によって、効率的な管理と的確なメンテナンスを実現し、物流業界の課題解決をめざす。

 

 TOYO TIREは2020年にAIを用いたタイヤの摩耗状態推定モデルを発表。予測精度の向上や現場実務で必要となる機能の調査を行い、今回の「Tire SAPRI」のなかに実装した。

「Tire SAPRI」の機能の一部の紹介とデモ画面
「Tire SAPRI」の機能の一部の紹介とデモ画面

 アプリの主な機能は四つある。車両の安全安心にかかわるところでは、「摩耗予測表示機能」と「空気圧、温度モニタリング機能」だ

 通常、タイヤの摩耗度合いは残溝を実測して確認する。このアプリを活用すると、過去の実績から数カ月後までの走行距離を予測し、タイヤごとに将来の残溝を予測することが可能となる。予測と実測の誤差も1ミリ程度にとどまる。空気圧や温度もリアルタイムで確認することができる。交換が必要なタイヤは色付けがされて、ひと目見てわかる仕様だ。

 走行中に異常を発見すると、アプリを通じてユーザーである物流事業者とTOYO TIREにアラートメールが送信される。このような異常をすぐに感知し、対応できるシステムとすることで、実証実験中にも「事故を未然に防いだ」と評価されたケースがあった。

技術統括部門の島一郎中央研究所長
技術統括部門の島一郎中央研究所長

 レクチャーに出席した技術統括部門の島一郎中央研究所長=写真・下=によれば、「左フロントタイヤの温度で異常値を示すアラートがでた」という。確認してみると、高温でインジケーターが溶けてしまっていた。

 このケースではタイヤの空気圧は正常だったため、「車両不具合の可能性がある」と判断して、すぐに車両点検へ。点検してみると、ブレーキが常にかかっている状態になってしまっている「引きずり」が発生していたのだ。

 タイヤバーストや車両火災などにつながりかねない故障だ。そういった重大事故を未然に防げたことから「物流事業者から大変感謝された」と、島所長は紹介する。

 車両の安全安心を確保しながら、効率性の点から使いやすさにも関心が集まる。アプリには、夏冬のタイヤ交換やローテーション履歴、保管情報を一元管理できる機能も搭載する。ローテーションではマウスのドラッグ&ドロップで完結し、直観的に操作することが可能だ。

 同社は「Tire SAPRI」の社会実装について「テストマーケティングを始めた段階であり、その後は未定だ」とする。しかし、物流業界の課題は現在進行形であり、課題解決への〈一手〉が切望されるところ。早期の社会実装を期待したい。


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