24年の振り返りと25年の展望を語る  タイヤ関連企業のトップが年末記者会見

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 TOYO TIRE、住友ゴム工業、横浜ゴムの国内タイヤメーカー3社は経営トップによる年末記者会見を開いた(開催順。前2社は対面式、横浜ゴムはウェビナーでのオンライン式)。為替の円安が続き、輸出量の多い企業にとって経営環境にフォローの風が吹いた。一方で諸物価の上昇はやまず、国内の景気は成長の実感がともなわない。タイヤ市場は新車用・市販用ともにコロナ禍以降、回復への足取りがにぶいままだ。3社の経営トップは24年の事業環境を振り返り、25年の事業展望について語った(25年の事業展望は「2025年新春特集号」で要旨を掲載)。また、合成ゴムの日本ゼオン、整備機器の総合商社イヤサカのトップ会見を掲載する。

 

 

清水隆史社長&CEO
清水隆史社長&CEO

 TOYO TIRE 清水隆史社長&CEO

 第3Q累計売上で過去最高を更新

 技術に担保された商品で独自の存在感構築

 

 TOYO TIREは10日、兵庫県伊丹市の本社で年末社長会見を行った。清水隆史社長&CEO=写真=が24年を次のように総括した。

 目下の事業環境について、米国は景気の底堅さがあるが個人消費の勢いは弱含み、景気の拡大ペースは鈍化が続いている。欧州ではマーケットの停滞感が強まり勢いが乏しい。日本では緩やかな回復が続くと期待されているが先行き注視の必要がある。

 第3四半期では最重要市場の北米を始め、販売強化が業績を下支えし、1-9月期の売上高は累計で過去最高を更新した。利益面では、通期業績予想の営業利益、経常利益、当期純利益をそれぞれ上方修正した。

 事業活動の振り返りでは、地域ごとに状況を説明した。大口径タイヤで圧倒的なプレゼンスを持つ北米市場では、アジアからの安価なタイヤの流入により影響を受けたが、それ以前から販路変換・信頼構築・強靭化に取り組んでいた。軸をぶらさず、安価タイヤとは勝負をせずに高付加価値タイヤの販売に注力した。利益率が上がり、重点商品比率は中計目標よりも上がっている。またロサンゼルス・ドジャースとのスポンサー契約締結により、ブランド認知が大きく向上した。

 欧州ではセルビア工場が徐々に生産能力を上げ、フル生産の体制が整ってきた。11月末にセルビアに販売統括会社を設立し、欧州各国に点在する販売機能を集約したことで、欧州全域の生・販・技の事業体制をセルビアに一元的に集積し、事業経営基盤をさらに強固なものにしていく。

 国内市場は、全体の需要減少が続くが、国内販売・物流体制のリストラクチャリングに取り組むとともに、高付加価値商品群の販売強化に注力した。生産財事業では、需要増加が見込まれる小型EVトラック専用タイヤを発売した。EVトラックは車両重量の増大や加速性向上でタイヤへの負荷が高くなる。こうした車両特性に対応した商材が求められているとした。

 さらに、「5月のジャパン・トラックショーでは当社製品への多くの期待の声があった」との手ごたえを示した。マーケットからのニーズを支える技術について「技術の柱は材料・シミュレーション・デザインの3分野。現在保有するコア技術を体系化している。近く内容を説明したい」と言及した。

 総括として「技術に担保された高付加価値商品を市場に打ち出し、多くの支持をいただいたことで独自の存在感を構築できた。これまで自分たちが挑戦してきたことに自信を持ち、積み上げてきたものを熟成させることに心血を注いだ一年だった」と述べた。


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