横浜ゴム山石昌孝会長兼CEO
高付加価値と汎用の二兎を追う
生産財揃い「うなぎ昇り」へ寄与
横浜ゴムは19日、24年度連結決算を発表した。原材料価格の高騰や日系カーメーカーの減産の逆風を受けながらも売上収益は1兆円超に達し、事業利益・営業利益は計画を上回る着地となり過去最高となった。消費財では高付加価値商品戦略と販売本数増に努めたこと、生産財のOHT事業ではアフターマーケットを中心とした販売増とTWSの通期での寄与が業績拡大に貢献した。

24年度は欧州、中国、アジア・インド、日本、北米の各地域で販売本数増を実現した。山石昌孝会長兼CEO=写真=はこの要因について「三つある」としたうえで、「各販路の改善を毎月フォローして他社に負けていた部分をしっかりとカバーしたこと、各地域にローカル経営者を置いたこと、そしてTWSとGYのOTR事業という二つの大型買収によりプレゼンスが高まったことだ」と強調する。
他社が高付加価値商品に注力するなかで、横浜ゴムは高付加価値のAGWと汎用カテゴリーの二兎を追ったとする。AGWはさらに拡大させて、「次の中期経営計画では構成比率50%超をめざす」と掲げた。一方、汎用カテゴリーについても中国やメキシコで着工した「1年工場」でコスト競争力を高めることで、全体の販売数量を拡大していく構えだ。
生産財ではGYのOTR事業買収により、OHTでフルラインアップとなった。グローバルでの長期的な人口増の食料需要増や物流増などが見込めることや参入障壁が高いことから、成長への寄与が期待できそうだ。
同社はより周期的な需要変動が小さく、収益性が高いアフターマーケットに注力する。フルラインアップ化に加え「OHTメーカーとして唯一、複数の顧客アプローチモデルを持っていることも強み」と強調した。