空気充てん作業時の事故  24年は22件発生、重軽傷者10名に  求められる法令遵守

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タイヤ作業場に配置された自動空気充てん機付き安全囲い(セーフティーケージ)前号で既報のタイヤセンター武生店内で撮影
タイヤ作業場に配置された自動空気充てん機付き安全囲い(セーフティーケージ)前号で既報のタイヤセンター武生店内で撮影

 JATMA(日本自動車タイヤ協会)は、「24年空気充てん作業時および空気補充時の事故調査」について結果を明らかにした。24年中に発生したタイヤ空気充てん作業時の事故件数は22件。〈表3〉で示すとおり、直近3年で過去最多となった。人的被害が発生した事故は8件(36%)で、これも直近3年で過去最多。死亡者はいなかったものの、重軽傷者は10名にのぼる。パンク修理作業に関する事故は8件(36%)、パンク走行等にともなうタイヤの損傷8件(36%)。空気補充時の事故については報告事例がなかった。

 

 今回の調査で、空気充てん作業時の事故22件・人的被害8件のうち、重傷を負った事例は4件(5名)報告された。業態別ではRS1名、専業店3名、CS1名。

 RSの事例は7.50R16LTタイヤのパンク修理時。「チューブとフラップを新品に交換し、空気を充てん。約400kPaでサイド部が破裂した」。

 専業店でも同様の修理で作業者が重傷を負った。タイヤとチューブを確認したが、パンク箇所が見当たらなかったという。二つのケースともにパンク走行等によりタイヤが損傷していたことと、引きずり痕を確認していなかったことが原因と考えられるとしている。

 別の専業店では185/60R13乗用車用タイヤの作業時に事故が起きた。「適用リム6.5までのタイヤに対し9.5のホイールをリム組みし、空気を充てんしたがビードが上がらずリングを装着。安全囲いに入らないため、タイヤを立てた状態で、作業者1名がリングを押さえ、もう1名が空気を充てん。ビードが上がりきる直前に、ビード部とサイド部が破裂した」と報告されている。これにより作業者2名とも重傷を負った。

 CSでの事故は6.50-10のIDタイヤ組み替え作業時。「チューブとフラップは再使用し新品タイヤをリム組み。合わせホイールが少し浮いた状態で合わず、合わせホイールのボルトナットを仮締めのまま、少し空気を充てんした後、タイヤ、チューブ、フラップの形を整えてから本締めしようと考え、空気充てん開始。約500kPaでチューブが破裂し、ボルトナットが外れ、飛来したホイールが作業者に当たった」という。

 重傷を負った5名はいずれも経験年数が「3年以上」という。事故の発生状況と作業標準を照らし合わせ検証し、未然防止に努める必要がある。

 〈表2〉「参考情報」にあるとおり、「空気充てん特別教育」の受講は22件中15件(68%)。受講しないまま作業に従事していた作業者が3割もいたことを示す。「安全囲い」に関する調査も同様で、その「設置」件数は15件(68%)にとどまった。「減圧器」を含めこれら3点は法令で定められたマスト事項であることを忘れてはならない。

 JATMAは、事故を防ぐために法令を遵守し、労働安全衛生法令で定められた事業者・作業者の責務について厳守することを強く訴える。パンク修理にともなう空気充てん作業時や空気補充時について要点ごとに注意を促し、ホームページなどを通じて、安全作業の啓発活動に努めていく。

 なお、〈表3〉で過去3年間の「事故の推移」を示した。

表1_事故のまとめ
表1_事故のまとめ
表2_参考情報
表2_参考情報
表3_事故の推移
表3_事故の推移

 

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